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「1人くらい死んで当然なのに、死なないのか?」……韓国史上最悪の性犯罪「n番部屋事件」“犯人”の正体

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主な運営者は3人いる

 話がややこしいのは、今回逮捕・検挙されたチョ・チュビンは「共犯者のひとり」ということだ。複数あったチャットルームの運営者の1人。主な運営者は3人いると見なされている。

「n番部屋」という事件名の由来となっている「1番~8番」の部屋を作った人物は、若い男性と推測されるハンドルネーム“ガッガッ“(=「GodGod」の韓国語読み)、いまだ身柄を拘束されていない。また“ウォッチマン”は38歳の男性で、昨年の10月に別の性的な違法サイト運営で起訴され、懲役3年6ヶ月を求刑されていた。しかし捜査の段階でn番部屋事件への関与を自供。追加で検察の捜査を受けている状況だ。

 ではもっとも早く検挙され、顔とプロフィールが公開されたチョ・チュビンはどんな人物なのか。「n番部屋事件」のなかでは「博士部屋」を作り、「博士」のハンドルネームで活動していた。

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チョ・チュビン容疑者 ©AFLO

成績優秀だが「裏表のある人物」

「止められなかった悪魔の人生を止めてくれた」という表現、犯罪組織を作り上げた点、さらに仮想通貨などを用いた点。1995年生まれ、2018年3月に大学を卒業後、無職だった男は“頭脳”がないわけではない。現地ウェブニュースメディアの社会部担当記者が言う。

「仁川市にある仁荷工業専門大学情報通信科を卒業。学生時代には成績優秀で、奨学金も多くもらっていました。専攻分野もさることながら、文章を好み読書感想文の大会で優勝経験があった。大学新聞の編集長も務めていたといいます」

 その大学新聞にはなんと「学校での性暴力の予防」を謳うこともあった。この点でも分かるように、“裏表のある人物”という評判も出ている。学生時代の友人が韓国メディアにこう証言した。

「どこにでもいるような静かな学生という印象が強い。ただし、編集長だった学生新聞の記事を周囲の同意を得ずに勝手に書く、という面があった。教授や講師とのトラブルもあったと聞いています」