文春オンライン

志村けん“最後のテレビ出演”で、なぜ元恋人に「今は幸せですか?」と聞いてみたかったのか

“アイーン”そして“最初はグー” 受け継がれていく志村けん

2020/04/05
note

志村のおかげで「ハゲてもいいか」

 やがて勤めに出るようになり、家を出て一人暮らしも始めるようになると、さすがにゴールデンタイムの番組を見ることが出来なくなり、あれだけ夢中になっていた『志村けんのだいじょうぶだぁ』がいつのまにか終わっていたことを知った時は、大人になるとこんなふうにして志村と離れてしまうのか……と、しみじみ思ったもの。

 しかし、仕事で会った人と「どこに暮らしてんすか?」「東村山です」「あー、志村けん!」といった具合に志村で話が弾むことも少なくはなかったし、『Shimura-X』からスタートした深夜枠で再び彼に笑わせてもらうことになり、大人になっても志村から離れることはできないんだな……と感慨深かった。

©︎文藝春秋

 また、心だけでなく、別の面でも志村との固い絆が育まれた。ハゲてきたのだ。

ADVERTISEMENT

 やっぱり最初は混乱に襲われ、理不尽な怒りにも駆られたが、「ハッ、待てよ。志村もハゲてるじゃねぇか!」と気付き、「なら、ハゲてもいいか」と思えるように。実際、志村はハゲを隠すのはコントでカツラを被ってなにかしらのキャラを演じる時だけ。自らハゲをネタにしていたし、“変なおじさん”に扮する際はハゲた頭にさらにトリッキーにハゲたカツラを被せていた。そんな志村に背中を押されて臆することなくハゲでいられたし、“変なおじさん”が最もフェイヴァリットなキャラクターとなった。