暴力団業界のブランドとされる「菱の代紋」の威光があっても、勢力減少に歯止めがかけられない――。

 10年前には1万7300人いた山口組の構成員(組員)が、2019年末時点では、分裂した「6代目山口組」「神戸山口組」「絆會(旧任侠山口組)」の3組織を合わせても5900人にまで減少している。4月2日に公表された警察庁の調査で判明した。

 暴力団対策法が施行された1992年には2万2200人の組員を誇っていた山口組。組内で保守本流といわれた山健組出身の5代目組長の渡辺芳則と、武闘派、経済ヤクザとして知られた若頭の宅見勝が組織運営をしていた最盛期だ。バブル期には準構成員や周辺者を合わせると4万~5万人規模となる勢力となっていたことが推測される。

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6代目山口組組長の司忍 ©時事通信社

 しかし、相次ぐ法規制や警察当局の取り締まりの強化の影響もあって、近年は減少傾向が加速している。

「6代目山口組」は昨年10月に刑務所を出所したナンバー2の若頭、高山清司が復帰して組織の引き締めを図ったが、2019年末の構成員4100人、準構成員を合わせても8900人。分裂した直後の2015年末は構成員が6000人、準構成員含めて14100人だった。

「神戸山口組」も2015年末に2800人いた構成員が毎年減少し、昨年末には1500人。「絆會」との分裂で400人が離れたとはいえ、大幅に減っている。

「逃げ出す若い衆を追う人もいない」

 もちろん減少傾向は山口組だけでなく、全国の暴力団勢力(準構成員含む)は昨年末、初めて総数で3万人を下回り、前年比2300人減の約2万8200人と過去最少を記録した。