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「暴排条例が施行された後は、シノギで付き合いのあったカタギの人たちが自然に離れて行った。それまでは月に一度、縄張り内を回れば100万円ほどのみかじめが入ってきていたが、これがゼロに近くなった」(前出・住吉会系幹部)

 昨年10月には、苦境が続く暴力団業界にさらに追い打ちとなる規制が強化された。東京都が、みかじめ料などを支払った側の飲食店などの経営者も摘発できるようにした「改正都暴排条例」を施行したのだった。

「みかじめ料支払わないで」と、パレードで暴力団排除を呼び掛ける三浦正充警視総監(前列中央)ら(2019年9月、東京都新宿区) ©共同通信社

 東京を拠点に活動している暴力団幹部がその効果を打ち明ける。

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「この条例の改正は、我々の協力者の方を締め上げようとしている。警察は、経営者がみかじめ料を払ったことを認めないと、店の些細な違法行為を探し出して『違法を認めて店を閉じるか、みかじめを出していたことを認めるか』と迫っているとも聞く。こうなるとさらに厳しさが増すことになる」

街でのシノギを失った先に…

 すでに暴力団側が危惧しているような摘発もあった。2020年2月、みかじめ料を支払っていたキャバクラ店経営者(53)と、受け取っていた稲川会系幹部(51)を警視庁が都暴排条例違反容疑で逮捕したのだ。店の経営者を逮捕したのは初となった。

 警察当局はシノギの締め付けを強め、暴力団を追い込む。ところが、暴力団の側も、いつの時代もしぶとく生き残りを図ってきた。

 街でのシノギを失った暴力団はどこに向かっているのか。それが、芸能人の摘発も相次いでいる「シャブ(覚醒剤)」だった。(敬称略)
後編に続く)