「オールドメディアの敗北」との声も…。ネットの力を大きく活用したことで、選挙で大きな存在感を見せた石丸伸二(42)、玉木雄一郎(55)、斎藤元彦(47)の3人。彼らはなぜ選挙に強いのか? そこから見えるテレビや新聞など「オールドメディア」の現在地とは? ニュース解説メディア『The HEADLINE』編集長、初の著書『カウンターエリート』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

変わりつつある選挙戦略…。石丸、玉木、斎藤はなぜ強いのか? ©getty

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政治の主戦場は「ポッドキャストやYouTube」に

 世界的な選挙イヤーとなった2024年、世界各地で政治的な地殻変動が相次いだ。

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 ドナルド・トランプが返り咲いたアメリカ大統領選はもちろん、中国との対立的な姿勢を示す与党が勝利した台湾総統選、日本でも30年ぶりの少数与党という結果となった衆院選、欧州議会でのフランス極右政党・国民連合の勝利など、各国の政治的・社会的変化を示すような選挙結果が相次いだ。

 日本は、1955年に自民党が誕生した保守合同以来の「大変革」も指摘され、隣国・韓国では2024年の選挙で少数与党に転落した保守政党のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が、45年ぶりの戒厳令を発する異常事態も生じている。

 政治をめぐる変化は、選挙結果だけに限ったものではない。

 これまでアメリカ大統領選は、大手放送局CNNなどでのテレビ討論会が複数回開催されることが通例だったが、今回はポッドキャストやYouTubeが主戦場となった。

 たとえば、コメディアンで総合格闘技の解説者などを務めていたジョー・ローガンが主宰するポッドキャストへのトランプの出演回は、公開からわずか1か月で5000万回の再生数を記録した。

ポッドキャスターとして大きな影響力を持つジョー・ローガン氏(写真:本人サイトより)

 副大統領になったJ・D・ヴァンス(同じく約1800万回)や、政府効率化省(DOGE)のトップに就任した起業家イーロン・マスク(約1800万回)の出演回とあわせて、トランプ陣営の再生回数は計1億回にも達する。

 こうした変化は、アメリカだけにとどまらない。

 日本の都知事選でも、得票数2位となった石丸伸二の躍進を理解する上で、YouTubeの「切り抜き」と呼ばれる短尺動画の存在を無視できない。