昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

続出する“コロナ解雇” 「辞めろ」と言われたとき冷静に対処するための知識

退職届のサインを求められても安易に応じてはいけない

2020/04/10

「退職勧奨」には応じない

 退職とは、会社と労働者が合意によって労働契約を終了させることをいう。退職勧奨とは、「辞めてもらえない?」などと、会社が労働者に対して退職の合意に向けた申込みをすることをいう。

 このような退職勧奨は断ることができる。退職は、お互いの合意にもとづいて契約を終了させることだから、労働者が合意しない限り成立しない。「辞めるつもりはない」、「退職勧奨に応じる気はない」という意思をはっきり伝えることが大切だ。「辞めるかパートになるかの二択だ」などと労働者に選択を迫るようなケースもあるが、応じる必要はない。退職を拒否しているにもかかわらず、会社が執拗に退職勧奨を繰り返した場合には、違法な退職強要となり、損害賠償請求の対象となることがあるため、そのような言動を録音、メモ等によって記録しておくことは重要だ。

©iStock.com

 一方で、この会社にいても先が見えないと思うときには、退職勧奨に合意して、早めに失業手当を受ける(あるいは転職する)という選択肢もある。その場合でも、できるだけいい条件で辞めるように交渉すべきだ。例えば、「今日付で退職する」という合意をしてしまえば、給料はその日までしか支払われない。解雇の場合、30日前の予告をしなければ、足りない日数分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないが、退職の場合、そのような支払義務は生じない。何の交渉もなく退職勧奨を受け入れてしまうと大きな損をしてしまう可能性が高い。

 このようなことにならないよう、退職の条件について、会社としっかり交渉する必要がある。金銭的な補償を求める、退職金を上積みする、離職理由は「会社都合」とする、残っている有給休暇を買い取ってもらうなど、労働者側から退職の条件を提示し、納得できる条件を模索した方がよい(離職理由を「自己都合」とされてしまうと、失業手当を受給する際に不利になってしまうため、注意が必要)。

非正規雇用の場合でも、簡単にクビにはできない

 半年契約、1年契約といったように期間を定めて雇用されている場合、「やむを得ない事由」がなければ、契約期間中に解雇することはできない。「やむを得ない事由」といえるか否かについては、正社員に対する通常の解雇よりも厳しく判断される。もともと契約期間が決まっているわけだから、その途中で契約を解約せざるを得ない程の特段の事情がない限り解雇は認められないということだ。「やむを得ない事由」があると認められない場合には、期間満了までの給与全額を会社に請求することができるものと考えられる。

 契約期間の終了時に更新を拒絶された場合(いわゆる「雇い止め」)も、労働者が契約の更新を期待することについて合理的な理由があると認められる場合などには、「雇い止め」が無効と判断されることがある。簡単に諦めずに専門家や支援団体に相談した方がよい。