昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

genre : ニュース, 国際

 与党陣営の連合比例政党「共に市民党」のチェ・ベグン常任共同選挙対策委員長に至っては、今回の総選挙を「国内政治であるかのように偽装された韓日戦だ」と指摘。「『共に市民党』は義兵だ」と、自らを日本の朝鮮半島統治に抵抗した“抗日義兵”と位置づけた。

 与党に「親日勢力」と批判される野党・未来統合党。しかし残念ながら、野党も野党で「日本」と新型コロナウイルスを重ね合わせて、与党を批判している。ソウル市内の選挙区から出馬している未来統合党の候補は次のように語った。

「新型コロナウイルス問題は、壬辰倭乱(豊臣秀吉軍による『文禄・慶長の役』)を連想させる」

 そして、秀吉との戦争を避けられなかった朝鮮王朝第14代の王「宣祖(ソンジョ)」と文在寅大統領を重ね合わせて、「無能で、全国民を戦争の惨禍に陥れた」とまで罵った。また、「義兵らの活躍で戦争を終えた後、宣祖がしたことは『自分こそ最高の戦功者だ』という自画自賛だ」と付け加え、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きつつある現状を「文在寅政権の成果」と宣伝している現政権を批判した。

総選挙に与党から出馬している李洛淵前首相(中央)は、次期大統領候補の呼び声も高い ©getty

争点でもない「日本」に触れるワケ

 今回の韓国総選挙での大きな争点は、新型コロナウイルスの問題と、相変わらず低迷が続いている経済問題だ。

 その中でも、新型コロナウイルスについては、毎日100人前後で増えていた新たな感染者が、4月10日の政府発表では50日ぶりに20人台にまで減少。その結果、文在寅大統領の支持率は好調で、世論調査会社「韓国ギャラップ」が10日に発表したところでは、支持率は57%で不支持(35%)を上回っている。支持すると答えた人の59%が、その理由として「新型コロナウイルスへの対処」を挙げたという。

 政党支持率も与党「共に民主党」が44%。最大野党の「未来統合党」の23%を大きく引き離している。現状ではよほど失策を重ねない限り、与党の敗北はないだろう。

コロナ対策で支持率を回復させた文在寅大統領 ©getty

 そんな中で、「対日外交」問題は、争点になっていないと言っても良いだろう。日本政府による対韓国輸出規制の厳格化措置が出された昨年夏に比べると、ずいぶん静かになっている。

 にもかかわらず、ウイルス感染問題を日本に無理やり結び付けてまで、政敵を攻撃する。こうした背景には、日本批判の「手軽さ」がある。歴史を絡めて日本を利用することは、長年何のためらいもなく行われてきたことだからだ。