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 その上、日本を悪く言ってもごく少数を除けば、誰も反対しない。日本統治時代を知らない世代が国民の大半を占めるようになった昨今は、その傾向がより強くなった感がある。現に、ソウルの日本大使館前や街頭での反日集会を取材していると、そこに参加している若者たちは日本に憤りを感じているというより、まるで日本批判を楽しんでいるような雰囲気なのだ。

 もちろん、何かあればすぐに日本を持ち出す政治家を、冷ややかに見ている韓国人も少なくはない。ただ、日本との歴史問題を出されれば、一般の多くの韓国人は本音はともかくとして、日本を否定するような反応を示すしかない。「日本」を持ち出せば、相手を黙らせることができるのだ。

選挙戦を戦う保守系野党、未来統合党の黄教安代表 ©getty

『反日種族主義』を読んで武装した戦士?

 4月9日には、「親日政治家の審判を」と訴え、落選運動を始める市民団体も登場した。

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「中央日報」(電子版、4月10日)によれば、700余りの市民団体が集まった「安倍糾弾市民行動」は記者会見を開き、総選挙の候補者のこれまでの言動を点検し、「落選対象者を選定した」と明らかにした。

 この組織は各候補に公開質問書を送付し、「親日清算のための立法活動をする意志があるか」を検証。歴史歪曲発言を行っていないかも調べたという。

 その結果、保守系野党・未来統合党を中心に8名の「落選させるべき政治家」の実名を公表し、一人一人について“評価”した。

未来統合党の羅卿瑗氏(元自由韓国党院内代表)には「親日フレームの執着、子どもじみた政治」との批判が ©AFLO

「必要に応じて日本自衛隊の入国を許可」(黄教安・未来統合党代表)
「分別のない親日フレームの執着、子どもじみた政治」(羅卿瑗・同党、元自由韓国党院内代表)
「『反日種族主義』を読んで武装した戦士」(沈在哲・未来統合党院内代表)

 与党が優勢な情勢に、危機感を募らせる保守系野党。その野党にとどめを刺すかのような「親日批判」が、今日も展開されている。