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「無賃労働だったらやりたくない」
――現在は、医療用ガウンの縫製支援が検討されているようですね。もし万が一実際に縫製や、あるいは縫製の専門的な技術がなくても行える業務をするように指示が出たらやりますか?
田村 根本的な問題は金銭面だと思います。もし手当が出ないなら、私はやりたくないです。うちの場合は、基本給にフライトごとの手当が加算される給与形態です。ただ、今は減便や運休の影響でフライトの回数が極端に減っているし、一部の人は完全に休業中。基本給は受け取れますが、所得は通常の半分以下になっています。だから、手当が出るならやりますけど、もし無賃労働だったら話にならないです。基本給だけで生活します。
――ツイッターなどでは「縫製といえば女性」というニュアンスに違和感を覚えた人も多く、女性差別的だと批判が集まりました。
田村 たしかに日本の場合、CAは女性が多い職種ではあるので、そういう見方もありますよね。私はそこまで憤ってはいないですが、機長や副機長も関わるのかな? という疑問はあります。もし彼らが頭数に入っていないなら、差別されてるのかなと思ってしまいます。
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田村真美さんは「どちらにせよ、今は会社からの連絡待ちです」となかば呆れた様子で話していた。ANAでは、CAの約7割に当たる約6400人が一時帰休する。期間は4月から最長で1年間だ。その間、縫製支援は誰がどのような形で行うことになるのか。政府と企業の方針に振り回される現場の声にも、今こそ耳を傾けるべきではないか。
(取材・文=真島加代/清談社)