緊急事態宣言が発令された最初の週末。
品川区の戸越銀座など“地元”の商店街は家族連れで往来が増えたと報じられた一方で、日曜日の銀座は閑散としていた。休業要請の対象外になった喫茶店や飲食店の店頭にも、5月6日までの休業を掲げた貼り紙が多く見られた。
緊急事態宣言後も「続けるつもり」だったが……
銀座で開業して20年、酒棚に約600本のウイスキーが並ぶバー「G」(仮名)。玄人客に人気が高く、週末に入る金曜日は十数席のカウンターが常に埋まってきた。
3月30日夜の会見で小池都知事がバーやクラブへの出入り自粛を求めても「G」は営業を続け、その後の火、水、木曜日も客が入っていた。
50代後半の男性店主が話す。
「緊急事態宣言が出て休業を求められても強制力は無いと聞いていたし、閉めれば収入がなくなる。営業を続けるつもりでした」
しかし金曜日(3日)は客が全然入らなかった。
「週が明けた月曜日の昼に、周辺の営業状況をよく知っている氷屋さんに電話すると、“銀座は人が消えました。バーは今日から軒並み休業に入る”と言われ、仕方なく休業しました」(同)
営業継続を知らせると非難が殺到
開業して30年過ぎたスナック「N」(仮名)。雑居ビル3階の10坪弱の店で営業してきた。L字のカウンターとボックス席が2つあり、女性店主と、アルバイトの女性が不定期で1人か2人。
「3月の最終週は、月曜日はお客さんが1人、火曜日はゼロ、水曜日は2人来ただけで、木、金は休みました。感染して会社で問題になることを怖れてサラリーマンは来なくなり、来てくれたのは中小企業の経営者とか個人事業主。営業を続けるつもりで週明けの月曜日は開けましたが…」(50代後半の女性店主)
その晩の客はゼロ。翌日から休業する同業の女性店主が客を連れて遅くに来ただけだった。
「お店を開けてもお客さんが来なければ赤字が増えるだけで、仕方なく私も翌日から休業しました。周囲の“目”もあるし、銀座ではクラブもスナックもバーも一緒にされ、悪者になった気分です」(同)
勝ち気で知られる近くの別のバーの女性店主は、ツイッターで営業継続を知らせると非難が殺到し、「心が折れた」と漏らして休業を決めたという。