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「浜崎の顔では絶対に売れない」浜崎あゆみをカリスマにしたavex22年前の“逆転戦略”とは

2020/04/18

 テレビ朝日系でドラマ『M 愛すべき人がいて』が今夜スタートする。原作は歌手の浜崎あゆみを主人公とした小松成美の同名小説(幻冬舎刊)。本書の扉には《事実に基づくフィクションである》と記されているものの、作中には浜崎のほかレコード会社のエイベックス、同社の専務(当時)で彼女のプロデューサーだった松浦勝人などが実名で登場するばかりか、浜崎がデビューから数年間、松浦と交際していたことが明かされていたため、昨年の刊行時には大きな話題を呼んだ。著者の小松は、中村勘三郎や中田英寿などに密着取材して著した人物ノンフィクションで定評がある。本書も、浜崎や松浦と信頼関係を築きながら綿密に取材したうえで書かれたものと察せられる。

昨年10月に41歳になった浜崎あゆみ。昨年末に出産していたことも明かしている ©getty

『M』の作中、浜崎と松浦は、エイベックスが六本木で運営していた巨大ディスコ・ヴェルファーレで出会う。当時、浜崎は17歳になったばかりで、ある芸能事務所に所属していた。1年ほど前から年齢をごまかしてヴェルファーレに出入りしていた彼女は、顔見知りになったスタッフから、VIPルームに連れていってもらい、そこで初めて松浦と会ったという。このあと、その年(1995年)の大晦日のカウントダウンイベントで再び松浦と会い、電話番号を交換した。以来、松浦にたびたび呼び出されるようになる。あるとき、浜崎がロックが好きだと聞いた松浦は、彼女を西麻布のバーに連れていくと、店のカラオケで大ヒット中の楽曲をいくつか歌わせた。後日、浜崎から芸能事務所をやめたと知らされた松浦は、エイベックスに来て歌をうたえと切り出すのだった――。

「歌が下手だから、レッスンに行け」

 はたしてどこまでが事実で、どこからがフィクションなのか。松浦に取材した過去の記事を読むと、ヴェルファーレには彼がかわいがっていた部下がおり、スカウトを命じていたらしい。そこで部下が見つけて連れてきたのが浜崎だったという(※1)。カラオケについては、浜崎が『週刊文春』の阿川佐和子との対談ページに登場した際に語っている。

浜崎 (中略)カラオケ歌ってたら、その人[引用者注:松浦]がボリュームとかエコーとかキーをいじり出して。「何、この人。人が歌ってんのに」と思って。歌い終わったら、「お前、次、これ歌え」とか言って、どんどん曲を入れ出すし。
阿川 何を歌えって言われたんですか。
浜崎 何だっけな。globeとか、キーが高いやつだったと思います。
阿川 で、歌ったら?
浜崎 「歌が下手だから、レッスンに行け」って(笑)》(※2)