世界を覆うコロナ・ショックの中で、政治指導者の一挙手一投足に改めて注目が集まっている。1950〜60年代の英首相マクミランは、記者に「最も恐いものは?」と問われて「予期せぬ出来事だよ、君、予期せぬ出来事だ」と答えたという。パンデミックは指導者にとっての思わぬ試金石となっている。評価を高めた政治家、低めた政治家の命運を分けたものは何なのだろうか。

「ポピュリスト」の人気が再燃している?

 コロナ・ショックを受けて、これまでポピュリスト政治家として名指しされてきた政治家の支持率が上昇しているのが目を引く。

 昨年の総選挙で勝利してイギリスのEU離脱を決定的にしたボリス・ジョンソン内閣の支持率は、2019年12月時点で34%、不支持率が46%だったのが、3月末になって支持率52%、不支持率26%と逆転、記録的な上昇をみせた(YouGov調査)。この数字は首相がコロナ・ウイルスに感染したことへの同情もあることも考慮しなければならないが、一政権がここまでの高い支持率を得るのは異例のことだ。

ADVERTISEMENT

 支持理由についても、これまで首相を「無能」と判断していた有権者は少数派に転じ、2020年に入って「有能」とする割合が増えている。イギリスは、依然として感染者封じ込めに手こずっているにも関わらず、である。

自らも新型コロナ・ウイルスに感染したボリス・ジョンソン首相 ©AFLO

 大西洋を挟んだもう1人のポピュリスト政治家、米トランプ大統領はどうだろうか。ここでもトランプ大統領を評価する有権者は49%、支持しないのが45%と支持率が上回る(米Gallup調査)。経済情勢の急激な悪化から、11月の大統領選は安泰とはいえない。しかしトランプ大統領への支持率が概ね40%前後で推移してきており、これまで不支持率の方が高かったことを考えると、追い風が吹いていることは間違いない。