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首相公邸に5人の秘書がいた昭恵さん

 まず登場するのはノンフィクション作家の石井妙子氏。

 石井氏はこの年、「文藝春秋」2017年3月号で「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」を書いていた。特筆すべきはその号が発売された前日に、朝日新聞に森友学園国有地払い下げ問題の一報があったこと。つまり森友問題発覚の前から「一体、首相夫人とは公人なのか、私人なのか」、「昭恵さんの行動原理は何なのか」が一つのテーマになっていたことがわかる。

「文藝春秋」2017年3月号でインタビューを受けた昭恵夫人 ©文藝春秋

 今回石井氏のルポを読んでみると、昭恵さんにインタビューするために首相公邸へ出向いたところ、5人の秘書がいたことが最初に書かれている。

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《首相夫人に公費で、これだけの秘書がつくようになったのも、第二次安倍政権からという。やはり夫人といえども、公人なのだと改めて思うと同時に、「女は結婚によって人生が大きく変わる」と常々講演会などで語る彼女の言葉が自然と思い出された。》

安倍夫妻の共有点「『日本の伝統』を称賛」

 昭恵さんは首相に対して「家庭内野党」と言われてきたが実は「ふたりは価値観の基礎の部分を共有」していると石井氏は指摘する。以下は石井ルポをまとめた前出の朝日記事。

《共有点の一つは、「日本の伝統」を称賛し、それが敗戦を機に米国によって奪われたと考える傾向だ。》

 例えば昭恵さんは日本古来の伝統だった大麻栽培が戦後は米国によって禁止されてしまった、との考えを示しているが、それもここから。さらに、

《もう一点として「信仰」も挙げた。水は人間の思いを受け取ると主張した「水の波動」理論で知られる江本勝氏(2014年死去)。昭恵氏がその主張や神道に共鳴している点を紹介しながら石井氏は、首相夫妻が「信仰」的なものも媒介にして深く結びついている可能性を示唆した。》(朝日・同)

安倍晋三首相と昭恵夫人 ©JMPA

 この部分、石井ルポを読むとさらに詳しい。「水の波動研究者」「スピリチュアルマスター」と自称した江本勝氏と関係が深かったのは昭恵さんではなくむしろ安倍家であったという。付き合いは父・晋太郎の代から続いていた。

《江本は福島県の放射能汚染水を「愛と感謝の祈り」を日本中から送れば浄化できると主張。これを信じた昭恵もネットを通じて、江本先生からのメッセージを実践しようと呼びかけている。》(「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」)

 いかがだろうか。どこか今回の〈不安と恐怖が、ウィルスに対する愛と感謝に変わった途端、ウィルスは、目の前で、ブラックホールから、突然、喜んで、消え去ります〉というドクタードルフィンの言葉に似てないだろうか。