《第1位》シーズン4・最終回 I Heart NY
9.11の同時多発テロの翌年に放送された、ニューヨークへの愛の讃歌のようなエピソード。特にデート相手のいないキャリーは金曜の夜に一人でパリシアターに映画を観に行ったり、休日に美術館に行こうとぶらついたりして「街」とのデートを楽しむが、急に雨が降ってきたり、美術館が休館日だったりと、なにかと街に意地悪されて凹んだりもする。それでも、ニューヨークに滞在中のマリーンの兵隊に、こんな煩くてゴミゴミした街に耐えられるね、と言われて、いとしのニューヨークの悪口を断固否定して歩き去る。
美術館も映画館も百貨店も休館で、未だに肌寒く雨も多い東京もまた、今は気難しい時期だし、別の生物が蔓延するのに忙しく、いつも相手をしている私たちとはだいぶ距離をとりたがっている気がする。常に関係が良好なわけではなく、いつでもそこにあると思わせてこうやっていなくなることも分かった街を、これからどう愛すべきか。テロで酷い目にあった街への愛を味わいながら、賑わいを失っている今の東京を眺めて、しばし感傷に浸るのもいいかもしれない。
SATCの魅力は、交差するいくつもの人生が同時進行で、あらゆる角度で男と女の課題を、とてもクールでフェアな視点で切り取っていくことだ。さらに、ニューヨークには聖地めぐりのバスツアーが存在するほど、一つの街への執着と関わりが深く、街の変化とともに展開してきた。恋愛はまだしも、街をお預けにされている私は、こんな状況の街であったら、どんな男女のエピソードが生まれただろうと想像して楽しんでいる。