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「ふつうで1日4、5時間。ウケるネタがあると8時間くらいつづくこともあります。整形アイドルの告白動画とかは、『傷が怖い』、『腫れがすごい』って延々盛り上がった。コンプレックス語り(顔や体、性格などの悩みを語る)の動画なんかも共感できて、みんなとのビデオ通話が『祭り』状態でした」

 香織さんのような高校生は相当数いると思われる。LINE社が発表したレポートによると、3月には休校の影響を受けて10代のLINE利用数が激増した。スタンプ送信数は前月比で65%増の12億5200万、ビデオ通話は80%増の1140万回となっている。

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心配なのは生徒の「小遣い稼ぎ」

 こうした状況に危機感を募らせるのが学校関係者だ。公立高校で生徒指導を担当する男性教師(40歳)は、「普段から生徒のスマホ依存に悩まされてきたのに……」と嘆息した。

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「深夜までのスマホ利用による遅刻や居眠り。授業中でもSNS投稿をやめられない生徒が結構います。課金用のお金欲しさの万引きとか、校内で盗撮された画像が拡散するとか、日常的にトラブルがあるんですよ。そういう生徒は繰り返し面談したり、スクールカウンセラーにつないだりしてギリギリ指導してたのが、休校中にはまったくできない」

 特に気がかりなのは、援助交際のような行動を取られることだ。外出自粛要請でアルバイト収入が途絶え、保護者の収入減少も予想される。経済的にひっ迫した生徒がSNSや出会い系サイトを利用、性的な自撮り画像を送るなどして「小遣い稼ぎをするのではないか」と危惧する。

「学校が再開したときどれくらいの生徒が問題を抱えているのか、考えるだけで恐ろしい」

 教師の不安は的中してしまうのか。今後の感染拡大も不安視される中、コロナ休校と子どものスマホ依存は先行きが見通せない。

スマホ廃人 (文春新書)

石川結貴

文藝春秋

2017年4月20日 発売