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「自分が感染源にならないために」医師が“食事の場”で実践している6つのこと

「家庭内での食事」は飛沫感染の最大のリスク

2020/04/25

 この状況を受けて日本嚥下医学会では、嚥下障害が疑われる患者への食事介助において、新型コロナウイルスへの感染の有無に関係なく、次の注意を呼び掛けている。

■集団での食事は可能な限り回避し、それが困難な場合は「座席の間隔をあける」「食事時間をずらす」「対面を避ける」などの措置をとる

■患者からの飛沫とエアロゾルの発生と、お互いの接触を最小限とするため、摂取方法を検討したうえで介助は「側方」から行い、食事中の会話も最低限とする

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■摂食の時間は患者の疲労度に合わせて長くても30分を限度とする

――など。

 しかし、これは「食事に介助を必要とする人」に限ったことではない。

 ここに来て家庭内感染が増加していることは周知のとおり。家庭内で特に危険なのが「食事の場」だと木村医師は警鐘を鳴らす。

「家庭内での食事」は飛沫感染の最大のリスク

「食事の時は誰もマスクをしていません。そして食事の場は本来“楽しい場”。出社や登校を制限され、不要不急の外出を自粛せざるを得ない状況でも、家庭内での食事はだんらんのひと時であって、誰もがリラックスする場であるはずです。でも残念なことに、いまはそこでの会話が飛沫感染の最大のリスクなのです」

©️iStock.com

 そこで木村医師に、家庭内で食事の場での感染を防ぐためにすべき理想的な食事形態を解説してもらった。

■正面同士向かい合うように座らない

■できれば壁に向かって並んで座り、1.5m以上間隔をとる

■食事中は会話をしない

■窓を開ける

■できれば時間をずらす

■嚥下機能に問題がある人の食事は、柔らかくする、とろみをつけるなど「飲み込みやすい工夫」をする

 特に「飲み込み」がうまく行かない高齢者などの食事の対応は、「ちょっとやり過ぎかな?」と思うくらいの気遣いが必要だ。

 そう呼び掛ける木村医師自身、食事の場での感染防止には人一倍気を遣っている。