今月11日、沖縄県のゴルフ場で体調を崩し、帰京後の15日に新型コロナウイルスへの感染が判明、現在入院中の俳優の石田純一(66)。石田が宿泊したとみられる那覇市内のホテルは、16日から30日まで臨時休館を発表した。宿泊した時点では、自身のコロナウイルス感染を知る由もなかったとはいえ、県外からの「来県自粛」が呼びかけられている最中に起きた今回の騒動。石田がホテル側に休業中の賠償を求められる可能性はないのだろうか。リスクマネジメントに詳しい田畑淳弁護士に聞いた。
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問題は故意、過失があったのか
現在の情勢下では、石田さんのケースは、場合によっては誰にでも起こりうることかもしれません。もし自分が体調を崩したとき、施設訪問の予定をどうすべきか。リスクマネジメントの観点から検討してみましょう。
まず病気を故意または過失により感染させる行為は「不法行為」に該当します。不法行為の成立のためには(1)行為の違法性(2)故意または過失(3)因果関係(4)損害の発生が必要になります。
このうち、(1)については、病気を感染させる行為が違法になりうることは争いがなく、(4)についても、施設が休業したなら損害が発生することは間違いがなさそうです。
問題は(2)すなわち、どんな行為が故意過失ありといえるのか、そして(3)どこまでの結果についての因果関係があるかです。
一部報道によれば、石田さんは北関東のゴルフ場で感染した疑いがあるところ、その後沖縄に渡航、11日に沖縄県のゴルフ場で体調不良を発症し、15日に新型コロナウイルス感染が判明した、とのこと。つまり感染していることを知らないまま沖縄に渡航、そこで体調を崩し、帰宅後にコロナウイルス感染が判明したという順序になります。
とすれば、石田さんは沖縄のホテルやゴルフ場を訪問した時点では「コロナウイルスを疑わせる体調不良」はなかったということになり、時節柄不用意な行動であったという評価はされたとしても、法律面では故意はなく、過失もないという結論になりそうです。