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2020/04/24

ちょっとした咳や微熱でもホテルは避けるべき?

 では一時的に咳が出ていた、微熱があった、という程度で施設を利用し、あとから陽性だと分かったという場合にはどう考えるべきなのか。故意や過失があるといえるでしょうか。  

 一時的に咳や熱が出たりすることだけなら、今現在も数百万人がそうした何かしらの「考えようによってはそれらしい」兆候は抱えているのではないかと思います。今後明らかになっていく事実により結論は左右されますが、現在発表されているデータを見る限り咳や微熱だけからコロナウイルスに繋がる可能性はそれほど高いものとは言いきれません。

 だとすると、万が一後から陽性反応がでたとしても、一時的な咳や微熱程度で過失があったとする、つまり休業についての本人の責任を認めるのは酷でしょう。

 万が一のことを考えれば施設訪問を避けるべきだった、とも考えられます。しかし、法的に考えた場合、ごくごく低い確率の罹患可能性について、それにより発生した大きな損害を罹患者に負担させるというのは、発生してしまった損害の公平な分担という観点からもバランスを失しているように思います。

©文藝春秋

 ではどこに基準を設けるのが公平でしょうか。熱が2日続いたら、あるいは3日続いたのに施設を訪問したら過失ありなのか。今後事態が長引くほど、こうした休業補償についてのトラブルは増えていくと思われます。現在、明確な答えはありません。裁判所は公平な判断に悩みながら基準を作っていくことになりそうです。

 ひとつ言えるのは、責任についての結論がどう転ぶか分からない現時点において、リスクマネジメントの観点からは、責任に繋がる相当な可能性があり、かつホテルや施設が休業することになった場合の賠償額は個人で負担するにはかなり高額になると思われます。

 また、石田さんのケースを見ると、実際には法的には責任がない場合でも、周囲から強い非難を受ける、ということは法的責任がない者に対するそうした社会の反応がよいことであるのかはともかく現実には想定されます。理不尽な非難であっても、リスクであることに違いはありません。これらを考える限り、発熱した際の施設訪問はできる限り避けた方が賢明と言えそうです。

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