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SNSにこそ「ソーシャル・ディスタンシング」が必要だ――宇野常寛×茂木健一郎

パンデミック下の「知的生き残り術」#1

note

ネットが全体主義の道具に?

ランニング中の茂木さん

宇野 僕は今回のパンデミックによって、西側諸国までもソフトな「デジタル・レーニン主義」へ近づいてしまうのではないかと思います。おそらく国家がGAFA的なプラットフォームを優遇する引き換えに、個人情報を共有するといった方向に進んでいくのではないでしょうか。しかしそれはかつてインターネットに僕らが期待していた、個人の自由を拡大していく方向性とは大きく異なるものです。その点では、短期的には暗い未来予測を持っていますね。

茂木 ジョージ・オーウェルが『1984』で書いたような、全体主義が到来しかねませんね。

宇野 日本の場合怖いのは、「下からの全体主義」なんです。東日本大震災の後の自粛ムードの時に、ちょっとでも遊びに出かけたりしようものなら、世間から総攻撃を浴びたわけです。戦時中を彷彿とさせるような同調圧力が、最近どんどん強くなってきているように感じます。SNSにおける「魔女狩り」的な風潮が、その後押しをしているのは本当に嫌ですね。

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茂木 それにしても、3、4ヶ月前には、世界中がこんな状況になるなんて誰も予想していなかったわけで、この不確実性、偶有性が我々の脳に与える負荷はものすごいものがあると思います。専門家でさえ予測のつかない状況の中に我々はいます。

 では、その中で個人はどうしたらいいのか?

「スピードは自分で決める ポストコロナのキーワードは『遅さ』――宇野常寛×茂木健一郎対談」に続く)

遅いインターネット(NewsPicks Book)

宇野 常寛

幻冬舎

2020年2月20日 発売

SNSにこそ「ソーシャル・ディスタンシング」が必要だ――宇野常寛×茂木健一郎

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