新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないなか、政府やメディアからは「医療崩壊の瀬戸際である」ことが連日伝えられている。その崩壊の瀬戸際を、文字通り体を張って守り続けているのが、現場の医師・看護師などの医療従事者だ。医療機関で感染した、またはその疑いのある医療従事者や患者などは全国で1000人余りに上り、国内の感染者全体の1割近くに達しているという(NHK NEWS WEB、4月24日)。
公益社団法人の日本看護協会が医療現場で奮闘する看護職の逼迫した状況を鑑み、「危険手当」の支給などを求めた要望書を、4月15日、厚生労働大臣らに提出した。
なぜ今このような要望書を提出したのか。看護職員の人々が働く環境や誹謗中傷の実態などについて、日本看護協会の広報部に話を聞いた。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)
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新型コロナウイルスに接する医療従事者の恐怖
日本看護協会は、看護職への危険手当を求める要望書を提出した経緯について、このように答えた。
「日本国内の複数の地域で感染経路が明らかでない新型コロナウイルス感染症の患者が散発的に発生しています。
実際には対応する患者さんのどなたが新型コロナウイルスに感染しているかわからない状況であり、どんな場所で働く看護職にも感染のリスクがある状態になっています」
「各地で院内感染が生じており看護職をはじめ医療従事者は、自分自身が感染する、自身が感染の媒介者になるかもしれない不安や恐怖を感じながら職務にあたっています。
なかでも看護職は24時間、365日患者に関わっており、感染に対するリスクは甚大です。自らの危険を顧みず業務に従事している看護職に少しでも報いるために、危険手当等を支給していただきたく要望しました」
レインコートやクリアファイルを代用して防護
日本看護協会の相談窓口には、切迫した状況が伝えられているという。
「日本看護協会の相談窓口には、マスクやガウンなどの防護関連用具の不足によって、看護職自身が感染媒介者になる可能性への不安の声が多く寄せられています。用具不足により、レインコートやクリアファイルで作製したフェイスシールドで代用するなど、厳しい状況下でも患者と看護職自身の双方を守るべく、現場は対応しています。感染防止のためには防護関連用具の供給が切に望まれています」