新型コロナウィルス感染予防のため、東京都の小池百合子知事が「夜の街」に出かけることを自粛要請した。

 アジア最大の歓楽街と言われる新宿・歌舞伎町でも、多くのキャバクラが休業要請に応じている。しかし、キャバクラ嬢たちは働き口を失い、生活の不安がある。キャバクラ嬢たちは生活防衛ができるのだろうか。

自粛要請以降の歌舞伎町 ©渋井哲也

月収は10万から50万円の間

「収入がなくなったので、危機的です」

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 あるキャバクラ嬢ミカさん(仮名)から筆者に今後の生活に不安を訴えるLINEの営業メッセージが届いた。仕事もできないため、収入がなくなっている。貯金を切り崩すしかない、という。

 ミカさんは20代前半。もともとは昼の仕事もしていたが、現在はキャバクラ店で働くだけ。週3日ほど、歌舞伎町で働いている。収入は歩合制のため、安定していない。月収で言えば、10万から50万の間。都内のマンションで友人とルームシェアをして、10万円の家賃を折半している。

「生活が厳しいので、実家に帰ろうとも考えたんですが、もし、自分が帰郷したことで両親に感染させたら、もうしわけない。だから、今は実家に帰らずに、都内にいます」

確定申告は義務……税理士に相談を

 キャバクラ嬢は、店に雇用されているわけではない。業務委託契約だ。つまり、法律上、個人事業主として扱われている。そのため、自分で確定申告をしなければならない。ただ、実際に確定申告をしているキャバクラ嬢は多くはない。ミカさんに聞いてみたところ、

「確定申告はまだしていません。お金のことはまったくわからないんです」

 と言っていた。

©iStock.com

 飲食業に詳しい野村宜弘税理士は「まず、キャバクラ嬢やホステスは、従業員ではなく、個人事業主として扱われることが多いと思います。そのため、納税義務がある場合には、確定申告は義務になります。ただ、そういった事務作業が苦手な人もいますので、その場合には税理士に相談するとよいでしょう」と話す。

 確定申告をすれば、実際の売り上げ(収入)から、必要経費を除いたものが所得になる。その結果、所得税を払い過ぎていると認められると、過払いの分が還付される。

「多くの場合、源泉徴収で所得税が10%、復興特別所得税で2.1%引かれています。そのため、あまり儲かっていない場合は、引かれた分は戻ってくると思います」(野村税理士)