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わたしの「神回」

2020/05/04

その4)貧しく虐げられた少女たちが幸福を勝ち取る『ひよっこ』第116回

 もうひとつ泣ける回は『ひよっこ』第116回。高度成長期に東京に集団就職で来たヒロイン・みね子(有村架純)が優しい人たちとふれあいながらささやかな幸せを見つけていく。

 第116回は、町工場の乙女寮で同室だった豊子(藤野涼子)がクイズ番組に出場するお話。豊子は工場で出会ったときクールだったが、工場が封鎖されたとき、たったひとりで立てこもり抗議の姿勢を貫いた。いつの間にか誰よりも仲間を、乙女寮を愛していた豊子。優勝を賭けた勝負に豊子の仲間愛や貧しく虐げられた者の意地が炸裂し、わくわくする。

現在も再放送中の『ひよっこ』ヒロインの有村架純 ©文藝春秋

その5)「生きるとは何か」を突きつけられる渾身の長科白『おしん』第219回

 最後に、先日まで再放送されていた『おしん』(83年 脚本:橋田壽賀子)の第219回。東北の貧しい小作の家に生まれたおしん(小林綾子、田中裕子、乙羽信子)が関東大震災、太平洋戦争と未曾有の災難をくぐり抜け女性実業家となる晩年までを描いた1年間の大作。第219回は「太平洋戦争編」の終盤で、敗戦を知った夫・竜三(並木史朗)のとった行為に嘆く義母(高森和子)に、竜三のすばらしさを切々とおしん(田中裕子)が語る。生きるとは何か、夫婦とは何かを突きつけられる渾身の長科白である。メッセージ性の強さは他の追随を許さない。

田中裕子 ©文藝春秋

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 こうして改めて振り返ると、“朝ドラ”っていいなと思う。拙著「みんなの朝ドラ」で、朝ドラを毎朝視てSNS に感想を書き込んだり、レビューを書いたり、そういうことが続く限り日本は平和であり、“朝ドラ”とは平和の祈りではないかと書いた。それをいま、家にこもりながら強烈に実感している。

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