「クオモ知事に恋に落ちた」
今、全米が熱狂する「クオモ知事」とはどんな人物なのだろうか。
3月の終わり、政治・経済の固い記事が並ぶYahoo.comのニュースに「私のボーイフレンド、アンドリュー・クオモの新しいガールフレンドはアメリカ」という目を疑うようなタイトルが登場した。クリックすると、ニューヨーク州のクオモ知事に関するマリー・クレールの記事(3月26日)の記事だった。
この記事の筆者である、3時間のトークショーを持つ人気コメディアンのミシェル・コリンは、自己隔離の日々の中、毎朝11時に行われるクオモ知事の会見を見て、完璧なリーダーシップを持つ彼に「私は恋に落ちた」と書いている。
クオモ知事が全米で初めて都市を封鎖した。誰もやったことがないことを、経済封鎖とは真逆のイメージがあるニューヨークで宣言し、しかも、皮肉屋と言われるニューヨーカーが静かに従っている。クオモ知事が「私の責任でエッセンシャル(生活や健康に必要不可欠)な仕事以外は封鎖する」と宣言した時、老若男女問わず、全米の多くの人々はクオモ知事に恋に落ち、ついていこうと決めたのだ。
その真剣な表情と声音には偽りがない。この人だったら「守ってくれる」「信頼できる」と多くの人が確信を持ったのである。
今や日本で当然になっている、“ソーシャル・ディスタンシング(身体的距離の確保)”スタイルの記者会見では、真剣な表情で嘘偽りのない状況を話しているように見える。さらに、「責任は私にある」と語り、できることを全うする姿勢を見せている。トランプ大統領に連邦政府の援助を要求し、軍の病院船を接岸させる。もはやクオモ知事の前では、「ニューヨークの経済が死んでしまう」と反論する者はいないのだ。
有名人たちも黄色い声を上げている。
ハリウッドスターのジェイダ・ピンケット・スミスは、クオモ知事の毎日の記者会見を必ず見ていて、“セレブリティ・クラッシュ(有名人に夢中になること)”中だと告白している。また、コメディアンのチェルシア・ハンドラーは、VOGUE誌に「あなたのファースト・レディ」になりたいとラブレターを書く。
クオモ知事の義理の妹も、「『パンデミックが終わったら、お義兄さんとの食事をセットして』と友達に言われ続けている」と語っている。
クオモ知事がモテるのには一つ理由がある。それは、彼は62歳にして独身に戻ったばかりだからだ。映画「ゴッドファーザー」の中のアル・パチーノを彷彿させる、最も結婚相手に望ましい(eligible man)ニューヨーカーなのだ。
昨年9月に15年間パートナーだった料理研究家のサンドラ・リーと別れたばかり。その彼女も最近は「私は今もクオモ知事と最も近い関係にある。いつも話しているし、死ぬまであなたが必要とすれば私はいる」とインタビューで答えるなど“私の男だ”と必死でアピールしているのだが。
さらに遡れば、クオモ知事はロバート・ケネディの娘であるケリー・ケネディと結婚していて、2人の間には3人の娘がいる。
ちなみにクオモは今一番辛いことは、「母親と娘3人に会えないこと」だと答えている。「お母さん」が出てくるところは、なんともイタリア系アメリカ人らしい。