「自宅をスタジアムに！」　球場グルメの容器通販は最高のアイデアだ

文春野球コラム2020 オープン戦

えのきどいちろう

2020/05/06

genre : エンタメ, スポーツ

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野球も好きだったけど、球場で過ごす時間が好きだったんだ

　♪ポンポンピンパ、ペンペンポン、ピンピラペンポン……。

　おーい、もしもししょてんさん、元気かい？　ツイート良かったよ。今日はパ・リーグ好きの仲間として話を聞かせてください。いやー、野球が見たいですね。

「いや、どうもすいません、こちらこそよろしくお願いします。ホントですね、マリンに行けないのがこんなにつらいとは……。球場で食べたり呑んだり、仲間と騒いだりできないのがこんなにつらいとは思いませんでした……」

　今、オンライン飲みが流行って、みんな言ってるのは「自分は酒が好きだったんじゃなくて居酒屋が好きだったんだ」みたいなことですよね。それをこっちに当てはめれば、野球も好きだったけど、球場で過ごす時間が好きだったんだという。

「そうですね、みんな野球が見たいっていうのもありますけど、球場であれ食べたいとか、球場で飲みたいとか、それがかけがえがないんですよね。バカ試合を見ながら、みんなでネタを言ってくつろいでる時間です」

　うん、むしろそれが本質だよね。球場の空気を吸ってる豊かさ。だから、野球が止まってる今、「自宅をスタジアムに！」という、しょてんさんの主張はとてもよくわかります。

「最初、知り合いのカープファンが球場メシやビールの写真をアップして、容器やプラカップがあったら自宅でも楽しめるのに……、みたいなことを言ってたんですよ。それで私もすぐ乗っかって『売ってほしい！』ってツイートしました。まさか本当に売ってくれるとは思ってなかったんですけどね。はい、買いました。はい、もう次の日には売り切れてましたね。ビール飲んでます。はい、最高です。あ、25個セット500円だからケチケチしないでいいんですけど、もったいないから洗って、次の日また使ってますね」

　球団側から何らかの反響はなかったんでしょうか？

「僕のツイートを見てくれていたのかどうかわかりませんからね。でも、プラカップを買って、ビールを注いだ写真をアップしたら、球団の黒沢さん（元投手の黒沢翔太さん、現在は球団職員）からいいね！をもらいました」

まず野球と再会して、次はみんなと再会したい

　僕んちはね、札幌ドームのカップはないんだけど、カープのプラカップはあるんですよ。広島市民球場の最後の年に見に行って、記念に持ち帰ったものです。前田智徳のイラストがついてる。ああいうのは普段はありふれてるから捨てちゃうけど、記念品だと思うと大事にしますね。

「そうなんですよね、僕らはいつもマリン行ってるからありふれてるけど、遠征とかで初めてマリンに来た人には貴重なのかなって今は思います。これ、何でもない日常の大切さを、失って初めて気づくパターンですね」

　このマリーンズロゴの入ったプラカップ持ってれば、すぐにオンライン飲み会できますね。何ならウオッチパーティー（ロッテのアーカイブ配信）見ながら、みんなでワイワイ。ああ、そうやって考えてみると、シーズンっていうのはすごく長い飲み会でもありますね。途中、何度も家に帰ったりして、また集まったりして、季節がめぐっていく長い長い飲み会。

「なるほど！　そうですね、確かにそうですね！　半年続く飲み会ですね。常連どうし、名前も知らなかったりするけど、同じ季節を過ごしていく。うーん、長い飲み会ですね」

　僕ね、怖いのはね、このコロナ禍が終息したとして、今まで通りに戻れない気がするんですよ。いちばん怖いのは誰かいないヤツ出ないかなと思って。いや、コロナで亡くなったみたいなわかりやすいやつじゃなくても、会社や店がつぶれて人生が変わったり、経済的に困窮して野球どころじゃなくなったり、もう球場で会えないヤツ出ないかなと思って。そうなっても名前もわからないじゃん。

「そうですね、最初は再会した連中で盛り上がって、しばらくしてアレッて気づくんでしょうね。それはつらいですね」

　スタジアムでみんなと再会したいですね。まず野球と再会して、次はみんなと再会したいですね。プラカップはそれを思う縁（よすが）ですね。

「球場が日常なんですよね。私はマリンのことを『実家』って呼んでます。いちばんホッとして、のんべんだらりとできるんです」