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必要なことは政権による「丁寧な説明」と「ユーモア」――台湾はなぜ「新型コロナ」に勝てたのか #2

「日本台湾交流協会」台北事務所・泉裕泰代表に聞く「新型コロナ100日間の戦い」 #2

2020/05/10

愛情あふれる市民との一体感

 また膝を打ったのが、蘇貞昌行政院長による、買い占め対策の呼びかけです。台湾が大規模な上陸拒否措置を打ち出し危機感がより高まった3月中旬、台湾でも買いだめ現象が発生しました。この時、蘇行政院長は、「在庫はいくらでもありますのでどんどん買ってください、コロナで不景気なので、ぜひたくさん買って経済に貢献してください」と呼びかけたのです。なるほど、ないと思うと焦るのが人間の心理であり、このように言われてしまうと、スーパーに走ろうという気は失せてしまいますよね。

 また、これは日本でも報道されたようですが、陳部長の記者会見で、「マスク購入の際に色を選べないため、ピンク色のマスクが当たった男の子が学校でいじめられるのではないかと不安がっている」という指摘がありました。私は実は、なんてつまらないことを聞くのだろうと思ったのです。ところが、陳部長は、指揮センターの男性幹部らとともに次の日の会見で全員ピンク色のマスクをつけて登場し、「何色でもマスクはマスク、ピンクも悪くないですよ、私が子供の頃はピンクパンサーが大好きでした」と語りかけたのです。前編の冒頭でご紹介した、医療関係者や民衆への感謝の言葉もそうですが、ユーモラスであるだけではなく、こうした愛情あふれる市民との一体感は、ピリピリしがちな社会の空気を和らげてくれました。

これも“ユーモア”。観客に見立てた看板が置かれた台湾プロ野球のスタンド ©getty

 今、日本は、まさに山場を乗り切ろうとしているところで、依然厳しい状況が続いています。どうか、みな一致協力して、この難局を乗り切ってほしい、台湾にできることは何でもしたい、多くの台湾の人が、心からそう願っています。その思いを届けるのも、私の役目だと思っています。日本がどんな苦境に陥っても、心からのエールを寄せ続け、それを行動で示してくれる親友、それが台湾です。全てが過ぎ去った後、より多くの人たちが日本と台湾を行き来し、日本と台湾がより近い関係となり、より強い絆で結ばれるよう、微力ながら、力を尽くしていく所存です。

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