新型コロナとの戦いに「勝利」をおさめたといっていい台湾。これまでに確認されている感染者数は439人、死亡者数は6人(5月6日時点)で、中国から近い距離にありながら、人数は少なく抑えられている。デジタル担当大臣であるオードリー・タン氏が仕掛けた「マスク配布システム」が脚光を浴び、世界最速で開幕したプロ野球も5月8日からは観客を入れて開催する。
日本のはるか先を行く“お隣の国”のコロナ対策から学べることは多い。「日本台湾交流協会」台北事務所(大使館に相当)の泉裕泰代表に、「コロナ対策、成功の理由」を聞いた。( 全2回の1回目 /後編に続く)
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台湾に新型コロナウイルス(Covid-19)対応のための中央感染症指揮センターが設置されてからというもの、陳時中・衛生福利部長と幹部らは、ほぼ毎日1時間ほど、ピーク時には1日に複数回の記者会見を行ってきました。報道によれば陳部長は、連続130日間以上、休みなしで働き続けているそうです。
4月28日、台湾は3日連続で新規感染者ゼロを記録し、幹部一同は会見で、第一線に立ち続けてきたのは自分たちではなく、医療関係者や、防疫措置に協力してきたすべての民衆であるとして、感謝を述べました。中央感染症指揮センターが設置されてから、ちょうど100日目のことでした。
指揮センターへの協力を惜しまないメディア
指揮センターの日々の記者会見を見ていて、驚いたことがあります。インターネットでも同時配信されており、難しい話も多いこの会見を、主要テレビ局がほぼ、すべての質問が終わるまで中継するのです。
世界に感染が広がった2月、入国拒否措置が全世界に急速に広がり、海外から戻った人の感染が急増した3月頃まではそれも当然だろうと思っていましたが、小康状態と言ってよい今に至っても、その傾向に大きな変化はありません。いくら視聴者の関心が高くても、大きな注目点がない中で、似たような質問が続く会見を、最後まで中継を続けるというのは、視聴率を重視するテレビ局にとっては、大変珍しいことだと聞きました。