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日本のことを心から気にかけている台湾の人たち

 台湾の感染症対策が成功を収めていることは、日本でも広く知られていると思います。台湾はその成功を誇示することなく、人助けの心で、世界を助ける側に回っています。4月1日、台湾は、感染拡大が深刻な欧州等に、計1000万枚のマスクを寄贈することを発表しました。台湾での市民へのマスク割り当ては2週間に9枚ずつに増え、新規感染も1日ひと桁台で推移するようになってはいましたが、まだまだ気を抜けない状況です。助けてもらえない辛さを身をもって理解しているからこそ、困っている人を助けたい、世界の役に立ちたい、台湾は世界に貢献できるのだと示したい、そのような強い思いを感じました。

 この発表を受けて、台湾の方からは、「日本にはマスクを贈らないのか」という質問が相次いだそうです。自分たちもまだ大変な時に、日本のことを心から気にかけてくれる台湾の人たちの気持ちに、私は本当に感動しました。日本の緊急事態宣言発令の行方が注目を集めていた時期で、当所のフェイスブックにも連日、日本の状況をわがことのように心配し、励ます声が寄せられました。

泉裕泰代表 ©台湾中央通信社

 台湾は東日本大震災の時にも、250億円以上にものぼる破格と言える額の義援金を寄せてくれました。お金だけではありません。日本が台風の被害で苦しかった時も、沖縄の歴史的な首里城が火災に遭った時も、そして日台共通のお茶の間の記憶である志村けんさんが不幸にも亡くなられてしまった時も、蔡英文総統をはじめ、本当にたくさんの台湾の方々が、日本の気持ちに寄り添ってくださいました。そこにあったのは、真の友人としての、自然な気持ちです。

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 私が台湾の方々に御礼を伝えたり、台湾の防疫の取組への敬意を述べたりすると、いつも返ってくるのは「日本は大事な友達です、台湾だっていつも日本に助けてもらっています」「日本も本当に頑張っているじゃないですか、一緒に乗り越えましょう」という、謙虚な言葉です。

「Taiwan Can Help」「Taiwan is Helping」、これは、世界の役に立ちたいと願う台湾の、スローガンです。私はこれを、「Taiwan is Helping the World」とアレンジしました。台湾は、逆境をものともせず、的確な感染症対策の実践と心ある国際支援により、台湾が世界の感染症対策における不可欠のパートナーであることを、身をもって示したのです。私たちは、この思いに応えていかなければならないと思っています。