慰安婦問題に新しい爆弾が投下されたーー。
「水曜集会をなくさなければならない。私はもう参加しない」
5月7日、大邱市内で記者会見を行った元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス 92)氏は、こう批判の狼煙をあげた。彼女が批判の矛先を向けたのが挺対協(現・正義記憶連帯)であり、“反日市民団体のドン”と評される尹美香(ユン・ミヒャン)氏だった。
政界に転身後、30年来の同志を人格攻撃
「分裂の引鉄となったのは、尹美香氏の国政転身でした。韓国総選挙で、尹美香氏は与党陣営の立候補者として出馬、当選を果たしました。市民活動家から国会議員へとステップアップした。李容洙氏らはこの動きを見て、『元慰安婦は尹美香氏らに利用された』という気持ちが強くなったようです」(韓国人ジャーナリスト)
李容洙氏は韓国内では、最も有名な元慰安婦といえる。
韓国内では2017年公開された映画『アイ・キャン・スピーク』の主人公として広く知られ、アメリカ合衆国下院121号決議(従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議)で証言台に立つなど、慰安婦問題においてスポークスマン的な役割を果たしてきた。訪韓したトランプ米大統領に抱きつくパフォーマンスをした元慰安婦と記憶されている方もいるだろう。
挺対協とは30年来の同志ともいえる間柄だっただけに、今回の反乱の意味は大きい。
李容洙氏は挺対協の不透明なカネについて暴露し、尹美香氏や挺対協サイドは「高齢で記憶違いしている」とか、彼女の経歴詐称を匂わすなど人格攻撃を始めており、まさに、泥仕合といった様相を呈している。
“日韓合意の背景”を李容洙氏が暴露
本稿では両者の金や経歴の問題は一旦置き、李容洙氏が暴露したもう一つの問題である日韓合意の背景について論じたい。李容洙氏が挺対協と行動を共にしてきた当事者の一人である、という事実を踏まえて彼女の発言を検証してみよう。
「2015年韓日協定当時(日韓合意)にも10億円が日本から入ることを代表(尹美香氏)だけが知っていた。外交部も責任がある。被害者がその事実を知るべきなのに、彼らだけが知っていた」
李容洙氏はこう暴露したのだ。