厚労省は「WHO(世界保健機関)の在宅ケアのガイダンスによると、PCR検査で2回連続で陰性を確認してから療養解除すべきだとされています。しかし、検査ができない場合には、症状が消えた後、14日間の隔離継続を推奨するという内容が記されています。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では10日とされていて、これらを参考にしました。
ウイルスに関しては、まだよく分からない面も多いのですが、国内ではPCR検査が本当に必要な人に提供できない部分がありました。そうした状況の中で、新たな感染者の発見に充てるのか、2週間療養した人の感染リスク軽減に充てるのか、どちらを優先させるかで新規感染者を選びました」と説明している。
自宅療養者の急変が相次いでいるが……
都のホテル収容策は、政府が「原則、自宅療養」と打ち出した後に始まり、4月7日からホテルを棟ごと借りて、病院で陰性確認を待つだけの軽症者を移した。同17日からは「入院治療するほどではない」と判断された新規の軽症・無症状者を、自宅から直接ホテルに収容した。
新型コロナウイルス感染症は、軽症でも急変する場合があり、軽症者が相次ぎ自宅で亡くなっていたことが判明した。急変時の対処には自宅より医療関係者が常駐するホテルの方が適している。そこで政府は4月23日、加藤勝信・厚生労働大臣が「軽症者は原則ホテル療養」と述べて方向転換した。5月6日には厚労省がホテルを「臨時の医療施設」と位置づけ、病院と同じように入院勧告・措置できるよう通知した。
ところが、ホテルへの収容は思ったほど進んでいない。政府の自宅療養策が先行したうえ、都は今もホテルを「臨時の医療施設」と位置づけていないからだ。このため実質的に希望制となっている。「ならば自宅にいたい」という感染者が多いのである。
2800室用意して入所者はたったの125人
このため「ホテルは2800室用意している」(小池百合子知事の記者会見)としているにもかかわらず、5月12日時点の入所者はたったの125人だ。一方、自宅療養者は352人もいる。ちなみに、同日時点の東京都の感染者数は累計で4987人だった。そのうち2901人が退院するなどしており、1413人が病院に入院中とされている。
PCR検査は、これら患者のうち病院から退院する人だけに行っており、ホテル療養者に対しても、自宅療養者と同じく実施していない。