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腸閉塞で倒れ、大腸がんと判明

 恥ずかしながらマイコプラズマ肺炎なんて病名は馴染みがなかったが、大きな病院で診てもらい、抗生物質と貧血対策の鉄剤をもらい、ようやく本気でホッとできた。だが、1カ月後の2018年11月に腸閉塞で倒れたことで大腸がんが判明して目の前が真っ黒に。聞けば貧血は大腸がんの症状のひとつで、子供が生まれる前からなにかとフラつく場面が多かったのを思い出して今度は頭が真っ白に。

がんがわかる直前の、妻とのやりとり。試写で観た『ボヘミアン・ラプソディ』の素晴らしさに感極まっており、のんきに映画を勧めていた。

 医者に大腸がんと告げられて「35歳でがんになるなんて……」と驚き、なぜこんな目にと怒り、これからどうなるんだと恐れたが、結局のところは俺も妻も近所の病院の医者も大きな病院の医者も“若い=がんはありえない”に縛られていたわけだ。加えて、貧血やマイコプラズマ肺炎はすんなり受け入れられるのに、自分や家族はがんとは無縁なのだと受け入れず、百歩譲ってがんになるかもしれないけれどもそれは今日じゃないと、よくわからない思考にも陥っていた。

病気に前兆はあっても、突然はない

 実は大きな病院でCT検査を勧められていたのだが、妻は造影剤が母乳に影響するので断っていた。どのみちステージ3だったので、やっていれば絶対に大腸がんだと判明していて早く対処できたはず。こればかりはド級の痛恨事で「あの時、受けておけばなぁ」と引きずりまくっているが、それもこれも“がん=無縁”の思い込みが悪いのだ。

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※写真はイメージです ©iStock.com

 さまざまな不調、大腸がん発覚、手術、抗がん剤治療、その副作用による入院と、すったもんだの末に“なるかもしれないではなく、なるもの”なのだとがんを含めて病気に対するマインドは改まった。いまでは、妻が熱を出したり、腹痛を訴えると「記憶にないレベルか?」といちいち訊くようにしている。腰に手を当てているのを見掛けただけで目をギラつかせて「痛いのか?」と問うものだからウザがられるが、それでも構わない。病気に前兆はあっても、突然はないような気がするからだ。