妻が定期検診を受けている病院で院内感染
そうこうしているうちに、緊急ではない診察や手術は延期されるみたいな話が出てきて、妻が受ける予定だった歯列矯正も白紙にすると某大学病院から連絡が。「医療現場の逼迫」を感じた妻と俺は、泣く泣く子宮頸がんと子宮体がんの検診を“不要不急”と判断して延期した。異変の有無を確認できなくなるこの決断は正しかったのかとモヤモヤするなか、妻が定期検診を受けているがん専門病院で院内感染が発生した。看護師1名の感染とはいえ、はじめてコロナを具体的かつ身近に感じた。
しかし、この定期検診は“不要不急”とはいかない。大腸がんは肝臓や肺への転移が多いので、どうしても診てもらわないとマズい。病院のサイトをチェックすると、看護師は回復して退院、新たな感染も起きていないという。予防策は万全なはずだ。ならばと検診を受ける決意を固めたが、公共交通機関を使って病院に行くのは気乗りしない。妻と議論を重ねた末、義父の運転する車で運んでもらうことに。車のすべての窓を全開し、絶対にマスクを外さず、こまめに手を消毒するよう妻に伝え、「そんなの当たり前だろ」と返されたのを合図に決行開始。車で出発した彼女を息子と一緒に見送った。検温や手の消毒を筆頭に病院に入る際は厳しくチェックされたが、あとはいつも通りで診察自体はスルッと終わったそうだ。
検診すると結果が出るまで悶々とするのが常だが、今回はあらたな不安も加わる。病を抱えている者にとってコロナは、本当に厄介で恐ろしいと痛感した。もちろん病身(脂肪肝だが)ではない俺だって、いつ感染してもおかしくはない。
身をもって、早期発見、未病の段階で診てもらう重要性を実感したのにそれがかなわない歯がゆさ。コロナは病に向き合おうとする気持ちをも侵すものだと思う。