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2020/05/24

「大丈夫だったね」と言い合えたら

 再び診てもらって喘息の疑いをぶつけると、「それ、喘息の咳じゃないよ。花粉のアレルギー」と医師。これじゃあ埒が明かぬと、紹介状を書いてもらって大きな病院でCT検査をして画像をチェックしてもらうと「やっぱり、肺とかなんともないね。それより、思いっきり脂肪肝になってるよ」と予想もしていなかった診断が。咳は見事なまでに花粉の飛散状況とシンクロして現在は出ておらず、脂肪肝を告げられたのを機に間食を断ってウォーキングをしたらスルスルと痩せて体が軽くなった。ただ痩せても脂肪肝は改善しないが、とりあえず異変に敏感になって良かったと自分に言い聞かせた。

※写真はイメージです ©iStock.com

 念には念をと、年が明けてからは大腸がんの便潜血検査を受け、以前から水虫ではと気になっていた足指の痒さにケリをつけようと皮膚科に駆け込むなど、こまめに診てもらうように。結果、大腸がん検診は異常なし、足指は意外に敏感肌なだけだった。なんでもないと自分で思い込んでいるより、なんでもないと医師からお墨付きをもらったほういいのは当たり前で、異様に晴れやかな気持ちに。おまけに経済的にも悪くない。足指の痒みは10年前から水虫だと自己診断して、1000円近くする市販の治療液を買っては塗るのを繰り返していた。こうなったら改めて脂肪肝の様子も診てもらい、がんドックでも徹底的にチェックしてもらって、再発転移を調べる定期検診を5月中旬に済ませる予定の妻と「大丈夫だったね」と言い合いながら肩でも組めたら素敵じゃないかと考えていた。

妻の小泉なつみ(ライター)によれば、「腫瘍切除のための入院は10日間。退院の日にリストバンドを切ってもらったとき、『シャバに出られる!』と浮き立った」という。

コロナで病院に行くハードルは高くなった

 だが、新型コロナウイルスによって事はそう簡単には運ばなくなった。ただでさえ我が家は妻ががんなのに、世の中はコロナ。たまったもんじゃない。どこかで院内感染が発生なんて報道がされるたびに、病院に行くハードルは高くなっていく。感染するだけでなく、無症状感染者なのを知らずに誰かに感染させるのもダメだ。がんの治療や手術を終えた経過観察中の者も感染すると重症化のリスクがあると聞き、怖さは増す一方に。ちょっと喉がイガイガすると祈るような気持ちでのど飴を舐め、初期症状である味覚・嗅覚障害をチェックしようと積極的に辛ラーメンを食べてみたり、息子のオムツを替える時に意識して鼻をクンカクンカさせた。

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