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「三十路の女には、ロクな男が寄り付かない」55歳の風俗嬢が“救いの神”を待ち続ける理由

『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』より#2

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流転の売春生活

©iStock.com

 数年間はキャバクラに復帰するも、なかなか指名を入らず稼げない日々。知人に相談すれば、『1日で10万円以上稼げる』と、今度はソープランドの仕事を紹介される。裸で接する仕事に抵抗はあったが、背に腹は代えられぬと28歳で性風俗の世界へ飛び込んだ。

 バブル時代に男を転がした経験のある立花さんは男を喜ばせるテクを知り尽くしていた。すぐに指名がつくようになり、1日15万円超を稼ぐ日が続いた。ソープという場で彼女の才能は開花したが、男を見る目は鍛えられなかった。付き合っていた男に自宅の電話番号を悪用され、危うく犯罪に巻き込まれかけたこともあると話す。

「結婚しようっていうから信じていたのに、せこせこためた貯金300万円をそっくり取られちゃった。女って三十路にもなるとロクな男が近寄ってこないんですよ」

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「そこまで堕ちていない」――生活保護にいだく抵抗感

 30代後半になる頃には、徐々に指名が減っていく。さらに、酒浸りの生活を続けた不摂生がたたり体形も崩れ、稼ぎは1日2万円以下まで落ちてしまう。

「指名が取れなくなり、1時間1万円以下という低価格がウリの系列店に回されました。稼ぎは1日4万円にまで戻るも、今度は淋病、クラミジア、コンジローム……次から次に性病にかかる。もううんざりして、思い切ってソープはやめることにしました。でも、退店するなら寮から出なくちゃいけなくて、結局、今の家賃2万5000円のボロアパートに引っ越しました」

 40歳の頃、東京都台東区にある熟女専門風俗に入店するが、指名がない日も多く、1日5000円を稼ぐのがやっとだった。客に「写真で見るよりババアだな!」と罵倒され泣いてしまい、仕事にならなかった日もある。指名を取るため見た目にお金をかけ自分の商品価値を上げようにも、美容にお金をかけることもままならず、負のスパイラルに陥っていくばかりだった。