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ここまでのご公務を見ていると、宮内庁が相当の工夫と柔軟な対応を検討していたと思います。こうした工夫と対応は続けられることもあり、期待しすぎてはいけませんが、今後も皇后さまのお出ましは続いていくと思っています。

ただ、今の病気は完治が難しいものです。ある医師によれば、この病気の完治は「本人が治った」と思えることだということです。まだまだ、ご療養は続くことを理解した上で、私たちはお顔を拝見できたその喜びを伝えることで、皇室との相互関係が築いていけるものだと思います。

上皇ご夫妻から引き継がれた寄付活動

両陛下がこの1年に務められたご公務は、国事行為など天皇としてなさるべきもの、そして、ご両親の上皇ご夫妻が務められてきた行事があります。

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天皇陛下は、ご即位関連の行事もそうですが、上皇さまやそれ以前の天皇のなさり様を調べ、参考にされているということです。つまり、あまり両陛下ならではのなさり様、陛下の色を感じる行事は少なかったように思います。

 

確かに、国賓を迎えて大勢の方と懇談する場面で終了間近を告げるやり方を変えられました。これらは、ご招待した人への配慮からくるもので、気遣いをされる両陛下らしさが込められていますが、大きな変化とは思えませんでした。

こうした中、今年に入り、両陛下らしい「色」が見える出来事がありました。お手元金、つまり私的な財産から2つの団体にそれぞれ5000万円ずつを寄付されました。

上皇さまがご即位された際にも2つの団体に合わせて1億円を寄付されていますので、寄付自体は同じようにされてたわけですが、送られた先には、両陛下の「色」が出ていたように思います。

1つは政府が設立した団体や総務省、厚労省が運営する「子供の未来応援基金」。もう1つは「NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」です。

詳しくは、以前のコラムにも書きましたが、「子供の未来応援基金」は貧困など弱い立場の子供たちを応援する団体を助成する基金で、「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」は困難な状況にある人たちに支援が行き届くようにしようと連絡を取り合うNPO法人です。

(関連記事:子どもたちと被災者に寄り添われ…天皇皇后両陛下が「お手元金」から1億円を寄付