ドール・広報によると、「ドラッグストアには、バナナが売れる特有の事情がある」という。バナナは、日本で1世帯あたりの消費量が最も多い果物だが、果物を積極的に購入するのはシニア層というデータがあり、若い世代はあまり買わない。つまり、バナナはドラッグストアの顧客層に合った商品なのである。
それに、5月頃はイチゴの旬もそろそろ終わりで、スイカにはまだ早く、国産の果物の端境期にあたる。果物が食べたいとなると、自然にバナナが選ばれるのだ。
バナナの需要が高まっているのに対して、日本への輸入の85%を占めるフィリピンの生産地も、コロナが影響して移動制限が行われ、人手不足で出荷が追い付かない懸念がある。しかし、ドール、デルモンテなどの大手輸入業者は、「生産が減っているわけではない。南米のエクアドルなどの選択肢もあるので、極端な価格の高騰はないだろう」と、口を揃える。
「かぜ薬は売れたが、乗物酔いの薬は売れなかった」
医薬品も、院内感染リスクがある病院に行かず、身近なドラッグストアの市販薬で軽症の病気を治す、セルフメディケーションの考え方が、消費者に根付いたと考えられ、全般に好調だ。
特に、「かぜ薬が売れている」(スギ、カワチ)という指摘が聞かれた。
一方で、「旅行者が激減したため、ゴールデンウィークは乗物酔いの薬が、かつてないほど売れなかった」(スギ)という。手をよく洗うのでかえって手荒れするのか、「ハンドクリームが例年の1.5倍とよく動いている」(スギ)のも納得が行く結果だ。
調剤は、「処方箋枚数は減少しているが、通院間隔を開けるために処方日数が増えており、単価が増加傾向にある」(ココカラファイン)。また、コロナ感染拡大による特例として、電話での服薬相談が可能となっており、対応したチェーンは売上を伸ばしている。
手作りマスクが増えて「売れたもの」とは?
衛生用品ではマスクのみならず、関連商品として手作りマスクが増えたためか、ガーゼも売れている。マスクは需要が高いのに対して、まだ信頼に足るメーカーからの供給が足りず、全般に品薄が続いている。各店は、オープン前から毎日並んでマスクを買いだめする常連客対策から、朝の開店時からマスクを販売するのを取り止めている。
体温計も快調。血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターも売れている。血中酸素飽和度は、肺から体内に十分な酸素を供給できているかの指標となる。
アルコール消毒液は未だ欠品も多い状況だが、注目されるのは空間除菌剤。