「正露丸」で著名な大幸薬品は、二酸化塩素分子がウイルス、菌、においを除去しカビの生育を抑制する「クレベリン」を、2008年より一般家庭用に販売しており、スプレー型や置き型の製品がある。同社の2020年3月期決算(連結)は、「クレベリン」など感染管理事業が前期比92%増とほぼ倍増。売上高149億6600万円(前年同期比44%増)、営業利益38億2400万円(同88%増)と、売上、各種利益ともに過去最高を記録している。
「クレベリン」は、大阪府の75の医療施設、中国の武漢市などの5病院に、各1万個が寄贈されている。
なお、大幸薬品は二酸化塩素分子がインフルエンザウイルスの表面タンパク質を不活化すると検証しているが、「クレベリン」は雑貨の扱いで、新型コロナに効果があるとうたっていない。5月15日付で、消費者庁から携帯用の空間除菌用品販売事業者5社に行政指導が入ったが、大幸薬品は含まれていない。
自宅でのお菓子づくりブームで「売れたもの」
生活雑貨は、一時のパニックのような買占めは収まったものの、トイレットペーパーを中心に、紙おむつ、ティッシュペーパー、キッチンペーパーなど紙類が、好調を持続している。
また、「ゴールデンウィーク頃から自宅でお菓子作りがブームなので、ラップ、ホイル、フリーザーバッグが売れている」(ココカラファイン)傾向がある。
さらに、元来は秋冬の商品である入浴剤が、この時期に売れているのが大きな特徴で、「入浴による免疫力アップの報道の影響」(ココカラファイン)が働いた。「アロマ、リラックス効果のある商品、温泉系を中心に前年の5割増」(スギ)と売れている。
化粧品は厳しいが「例外的に売れているもの」とは?
化粧品は、今は女性たちが顔をマスクで覆っているので、口紅の売れ行きが特に厳しい。緊急事態が解除されても、人々が外出を控える傾向が続くと見られ、ファンデーション、アイメイク関連の商品も、当面厳しいと各社は見込む。
一方で、例外的に売れているのが、ヘアカラーだ。「美容院に行けないので、自分で白髪を染めている」(スギ)と、前年の5割増の売れ行きだ。
同じような理由で、ネイルケア商品もネイルサロンに行けない人が購入するため、スギでは2割増と販売を伸ばしている。
これから夏にかけ、季節商品の制汗剤、日焼け止めなどは、外出を控える傾向から期待薄か。一方で、家に籠っていれば殺虫剤、睡眠時に冷感を得られる「熱さまシート」のような商品、マスクをしていると喉が渇くので熱中症対策として経口補水液やスポーツドリンクの類は売れてくると見られる。