新型コロナウイルスの緊急事態宣言が、全国で解除された。それに先立つ5月20日、天皇皇后両陛下は、お住まいの赤坂御所で日本赤十字社の大塚義治社長と富田博樹副社長から、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる対応についてご進講を受けられた。
「心ない偏見に遭う方もおられると聞き心配しています」
ご進講の冒頭に話されたという両陛下のご発言が宮内庁ホームページに掲載された。天皇陛下は、「今日はお忙しいところ時間をとっていただきありがとうございます」と述べられ、「医療物資が不足する中、医療に従事される皆さんには、大変なご苦労を重ねられてきていることと思います。また、このような状況が長期化する中、皆さんのお疲れもいかばかりかと案じていますし、心ない偏見に遭う方もおられると聞き心配しています」と気遣われた。
また、1年前に日本赤十字社名誉総裁に就任された雅子さまは「これまで医療活動に献身的に力を尽くしてこられている方々、そして、その方々を支えられているご家族や周囲の方々に、陛下とご一緒に心からのお礼の気持ちをお伝えしたいと思います。これからも、まだ厳しい状況が続くことが案じられます。日本赤十字社の皆さんを始め、医療に従事される皆さん方には、くれぐれもお体を大切にされながら、これからも多くの方の力になり、この大切なお務めを無事に果たしていかれますよう、心から願っております」と述べられた。新型コロナウイルスに関する雅子さまのご発言が宮内庁ホームページに掲載されたのは初めてのことだ。
両陛下が専門家から直接ご進講を受けられるのは4回目のことで、医療現場の声をお聞きになりたいと願われながら、逼迫した状況に配慮され、ようやく実現したのではないだろうか。