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平成生まれで元派遣社員の私が、はじめて『ハケンの品格』を見て“強烈な違和感”を覚えたワケ

満点で働く春子が300点を出してようやく認められる物語

2020/05/27

 もしも、コロナがなかったら、4月から始まる新ドラマは、折り返し地点を迎えていた頃だろう。

 2020年春期のドラマは、海外の大ヒットドラマをリメイクした『SUITS/スーツ2』(フジテレビ)や木村拓哉主演の『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日)、そして「倍返しだ!」が流行語大賞にもなった『半沢直樹』(TBS)など、人気ドラマの続編が目白押しの超豪華なラインナップだった。そんな中、日本テレビが満を持して掲げてきたのが『ハケンの品格』である。2007年に放送された第1シリーズは、最高視聴率26%を記録し、日本テレビを代表するお仕事ドラマの一つになった。

主演の篠原涼子 ©文藝春秋

 主人公の大前春子(篠原涼子)は、さすらいの“スーパーハケン”。時給は特Aクラスの3000円(のちに昇給)、契約期間は3ヶ月で延長はしない、残業はしない、休日出勤はしない、担当部署以外の仕事はしないのが春子のポリシーであり、派遣先に求める条件だ。持ち前の敏腕スキルと20を超える資格で多くの実績を残してきた春子は、大手食品商社「S&F」のマーケティング課へ派遣されることになる。

 コロナの影響で初回放送が延期されている今は、『春子の物語 ハケンの品格 2007特別編』として4月15日から同枠で前作の総集編が放送されているが、Twitterでは当時を懐かしむ声で溢れている。一方で、今回の総集編で初めて『ハケンの品格』を見た視聴者も多く、「こんな話だったんだ……」と驚く声もあった。実を言うと、私も衝撃を受けた視聴者の一人だ。

元派遣社員の私が『ハケンの品格』を見て

 いきなり登場したので、まず“私”のことを書かせていただく。私こと明日菜子は、日々Twitterとブログでドラマの感想を書いている。2007年当時は学生で、ドラマにはまったく興味がなかったものの、『ハケンの品格』というタイトルだけは知っていた。

 そして、私は派遣社員として働いていたことがある。大前春子のようなスーパーハケンではなかったが、派遣社員の待遇に苦しさを感じたことはなかったし、社員から名前ではなく「派遣さん」と呼ばれたこともなかった。それは“時代”のせいかもしれないし、たまたま私が“ラッキー”なだけかもしれない。ただ、あらゆる点を踏まえてみても、私は前作に違和感を持った。

2007年に第1シリーズが放送された『ハケンの品格』(公式HPより)

『ハケンの品格』では、当時の派遣社員が抱えていた問題を世間に訴えるべく、正社員と派遣社員の格差をとても露骨に描いている。どの回を切り取っても派遣社員への差別描写は絶えないが、春子と同時期に派遣された“新米派遣社員”の森美雪(加藤あい)は特に目をつけられやすい。