――小池都知事誕生後の自民党都連の対応には、振り返ってみて問題があったと思いますか。都知事が初登庁した際、川井重勇都議会議長が記念撮影を拒み、批判にさらされました。
また、都議会での自民党議員の態度も問題視されました。高木さんも幹事長として、代表質問に立ちましたが、延々と続く自民党議員からの質問を、小池都知事が必死にメモを取り、それをもとに答えようとすると、自民党議員がヤジを浴びせた。いずれも、印象は良くなかったと思いますが。
高木 川井議長は、確かに写真撮影は断ったけれど、都知事と握手はしていました。ところが握手のシーンは、テレビ局が故意にカットして報道した。我々はBPOに提訴すべきではないかと考えたほどです。メディアの印象操作です。
都議会の代表質問については、一問一答形式ではなく、質問をまとめて行い、都知事及び理事者がまとめて答えるというのが、通常のスタイルだということを、まずご理解ください。
そのために、事前に質問項目は書面で都知事にお伝えし、基本的な答弁を調整することが慣例となっていました。ところが、それを小池都知事が断ってきた。
「事前のすり合わせはしない」、「裏取引はしない」とおっしゃって。それは裏取引でもなんでもなく、質疑の内容をより実のあるものにするための智慧ですから、私たちは通常どおりにやりたかったのですが、知事側の希望によりああいった形にならざるを得ず、その結果、私たちが非難された。
都民の方々には、「私たちが選んだ知事がぞんざいに扱われている」と見えてしまったのかもしれない。でも、私たちはぞんざいに扱ったつもりはないです。政治だから対立軸はあるし、都知事も、都議もそれぞれが都民の負託によって議場に立っているので、緊張関係にあるのは当然のことです。
ヤジに関しては、たしかに飛びました。「笑ってんじゃないよ」と小池知事に対してヤジを飛ばしたのは高木啓だと『週刊文春』に書かれましたが、私ではありません。私は誰が言ったか、知っています。でも、その名前は言いません。
このせいで、私の事務所にどれだけ抗議電話がかかってきたか。損害賠償を求めたいくらいです(笑)。
マスコミにおいては都議会自民党=悪。私は、その幹事長ということで悪の権化のようにされたことは残念です。
グリーンボンドとは借金のこと
――小池都知事が誕生した最大の理由は、豊洲移転問題やオリンピックの会場建設費用の見直しに取り組んでくれると都民が期待したからだと思います。「都政はブラックボックス」という言葉に都民が反応した。
高木 私たちは議事録もすべて公開し、説明を尽くしています。入札の経緯からすべて公開されています。
逆に小池都知事は、本当に経費の圧縮をしたのでしょうか。オリンピックの3施設の見直しも結局、元のさやに納まった。「その過程で400億円ほど経費の削減ができた」と都知事は語っていますが、それは端的に言って嘘です。去る6月5日の文教委員会の議事録を見ていただければ詳細がわかります。削った経費の大半は予備費と落札差金。あの時、設計から落としたエスカレーターや太陽光パネルなどは、その後どんどん戻している。削るべき設備ではないとわかったからです。しかし、形の上では経費を削減したことにしたいから、「グリーンボンドでまかなう」と言い出した。グリーンボンドって、都債です。借金です。これでは400億円削減したとは言えないでしょう。なぜ、マスコミはそういったことを正確に報道しないのですか。