財務局経理部長は「疑惑や不正はなかった」
――小池都知事は、これまでの都政を「ブラックボックス」と言い、「黒い頭のネズミ」がいると暗に自民党都議を指して批判しました。どう思いましたか。
高木 なぜ、そんな言われかたをするのかわかりませんでした。豊洲の移転問題やオリンピックの施設工事に我々が介入し利権を得ていると印象づける発言でした。
内田茂都議(当時)が、ある電気工事会社の監査役になっていることを問題視する報道が週刊誌でなされました。まるで、その業者がオリンピック関連事業を受注できたのは内田都議が口利きしたからであるかのような内容でした。
でも、今の都政で、そんなことありえませんよ。入札に関与なんてできません。あの電気工事会社は業界のトップ企業。大きな事業を受注できる会社は限られています。
政治=利権だというストーリーを、マスコミが作り上げて煽っているように見えます。
豊洲市場やオリンピック施設の建設に関して、小池都知事は「ブラックボックス」だといい、巨額、かつ不透明な工事費だとおっしゃった。では、そこには、どういう利権の構造があったのか、どこがどう不透明だったのか。都政の信頼を失わせ、我々をあれだけ攻撃したのだから、証明責任は知事の側にあります。
私たちはすでに、去る4月25日の財政委員会でこの問題を取り上げ、オリンピック施設及び豊洲市場の5件の工事案件について、財務局経理部長から「疑惑や不正はなかった」との正式な答弁をいただいています。このことをメディアはなぜ報じないのか、今までの都政を、小池知事の言うままに「ブラックボックス」と喧伝したメディアにも、その責任がありはしませんか。
――「都議会のドン」という言い方で内田茂前自民党都連幹事長の存在がクローズアップされましたが、実像が見えてきませんでした。
高木 内田さんは、地方政治に大変に長けた方です。私はあれだけの経験、見識、情熱を持っている人を見たことがない。議会の運営や都市計画にあれだけの細かい知識を持っている人はいないでしょう。それに優しい方です。少なくとも声を荒げるような場面を私は見たことがない。
「都市計画を学ぶならアメリカのMITだよ、高木君」と教えてくれたのも内田さんだった。若い頃よく勉強に行かれたそうです。ものすごく勉強家だし、記憶力は抜群です。
週刊誌には、ずいぶん虚像を書き立てられ、気の毒でした。実像を見えなくしたのは、マスコミのほうではないですか?
――こちらから申し込んでも、取材を受けていただけません。
高木 そんなことはないですよ。ただ、あれだけ勝手なことを書かれたら、会ったことのない人には、なかなか本音は言えない。でも、相手との距離感で親しくなれば、率直にお話しになるはずです。巨悪のように報道されて本当に気の毒でした。