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東京五輪音頭を歌う「お祭り男・女」総選挙をやろう

おぐら そもそも東京五輪音頭をこのタイミングで復活させるのは、どういう意義があるんですか?

速水 1964年の東京五輪の時はレコード会社各社が競争して、レコードがたくさん出た。その中で一番ヒットしたのが三波春夫だっただけ。今回もその方式でやれば問題なかったと思うよ。ユニバーサルが福山雅治、ビクターが星野源、エイベックスが倖田來未、ポニーキャニオンがaikoみたいな。誰が一番のお祭り男、女かを売り上げで決める! そういうほうがよかった。

おぐら 超いい! イベントとしても盛り上がりますよ。

速水 星野源が「こんばんは、星野源でーす! さあ、みなさんご一緒に~」ってやったらめちゃ盛り上がるでしょ。

「現代のお祭り男」は星野源で決まり? ©文藝春秋

おぐら 間違いない! 字面だけでアガる。それぞれのミュージックビデオに誰が出演するのかも話題になりますね。ちなみに「東京五輪音頭-2020-」のミュージックビデオには、ラーメンズの小林賢太郎が振り付けパートに出演しています。

速水 やっぱり星野源にすべきだったと思うな。星野源は、現代のお祭り男感がある。

おぐら 本人も植木等を尊敬していたり、昭和の系譜を踏まえたパフォーマンスができる素養もばっちりですからね。

速水 でもそれを大会組織委員会の指名で、大ベテランを選考して歌わせるって、最悪の権威主義を発揮してしまった。

センスがいいことでかえってノレない

おぐら 加山雄三と石川さゆりのほかにも、竹原ピストルが選出されてますけど。

速水 その選択が一番媚びていて最悪。「知らない歌手だけど、なんだか骨がありそうじゃないか」とかって、おじさんあたりが言い出しそうな存在ってことでしょ? 高齢層ウケとか考えたわけでしょ?

おぐら 人気者のお祭り男というよりは、昭和の日本男児っていう感じが評価されたんでしょうかね。

速水 このまま紅白とかに出たりすることになるんだろうけど、本当に最悪だと思う。この国は、本当に武田鉄矢を愛してやまないんだなって。もしくは、相田みつをでもいいや。

第90回キネマ旬報ベスト・テンでは、助演男優賞を受賞している竹原ピストル ©文藝春秋

おぐら あぁ……そういう方向。竹原ピストルは、役者として西川美和監督の映画『永い言い訳』に出たりしてますが、もともとは野狐禅という2人組でデビューして、ヒゲ生やして頭にタオル巻いてフォークギターを弾きながら“僕”の弱音を歌うような、野暮ったいスタイルですね。

速水 そこから説教スタイルの四代目魚武濱田成夫になっていくと。

おぐら いわゆる「最近の若いやつは」でイメージされる男性像とは真逆の存在ではありますね。いまの若い男って、ほんと肌とかツルツルじゃないですか。みんな垢抜けていて、清潔感が第一。トレンドは完全にこっち。

速水 ほんとだね。もはやEXILEですら、ヒゲも日焼けも禁止みたいになってるから。それこそ、星野源も幅広い年代に受け入れられているけど、ツルツル系の親玉みたいなところがある。

おぐら いまやビオレuのCMに出てるくらいですから。いまは肌に優しい弱酸性男子の時代ですよ。

速水 頭に巻いた汗臭いタオルよりも、きれいでふわふわのほうがいいか。

おぐら 音楽的な話でいうと、Suchmosを筆頭に、Yogee New Wavesとか洗練されたシティポップが支持されてますし。

速水 なるほど、ツルツル、シティポップスの流れへの反発としての竹原ピストルっていうのは納得かも。フォークギターで弱音と説教って、完全に昭和だもんね。

おぐら さっきセンスっていう言葉が出ましたけど、実際にはセンスがいいことでかえってノレないというか、拒絶反応も一定数あると思うんですよ。