早期から行われた、日本医師会の医療崩壊対策
また、現在多くの医療機関がコロナウイルスの影響で患者さんの受診数が減少し、診療報酬の低迷によって経営危機に瀕していますが、これらの医療機関に多くの人が集まり感染症のクラスター化するのを防がなければならないということで、医療機関に人が集まらないよう日本医師会自らが広報しました。
緊急事態宣言が出される2週間前の3月25日には、日本医師会の横倉義武会長、釜萢敏常任理事が陣頭に立ってコロナ対策の必要性を訴えました。医療機関の足元で起きる医療崩壊を防ぎ、また感染症対策を進めるために危機感をもって身を切るような発言をしてきたわけです。もしも、医療機関が儲けのことだけを考えて対策を怠っていたならば、PCR検査を求める不安な国民で医療機関は溢れ返り、そこが感染クラスターと化して、いまごろは渋谷健司さんが論じていたように日本もニューヨーク州のような感染拡大の渦に陥っていたかもしれません。
幸いにして、我が国はコロナウイルス感染における第一波をおそらく乗り越えることができました。しかしながら、冒頭に引用した津川友介さんの懸念が当たってしまい、いま「緊急事態宣言なんか要らんかったんや」という経済優先派による謎の言論が出始めております。
後講釈的な「緊急事態宣言の延長に対する反対論」
もともと、コロナウイルスなどたいしたことないので自粛する必要もないという論旨の発言は堀江貴文さんや三浦瑠麗さんらが論陣を張っておりました。池田信夫さんや篠田英朗さん、永江一石さんらもさらに乗っかり、西浦博さんが警鐘を鳴らした感染症の数理モデルについてさしたる根拠もなく否定しにかかる、という図式です。
元内閣官房参与で京都大学の藤井聡さんが、後講釈的な「緊急事態宣言の延長に対する反対論」をブチ上げ、それに対して感染症の専門家である岩田健太郎さんや仲田洋美さんをはじめネット上の医療クラスタの面々が再反論する図式になっています。
【藤井聡】【正式の回答を要請します】わたしは、西浦・尾身氏らによる「GW空けの緊急事態延長」支持は「大罪」であると考えます。
https://38news.jp/economy/15951
岩田健太郎医師「感染爆発を押さえた西浦博先生の『本当の貢献』とは」
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/517429/
岩田健太郎さんと言えばダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んでいって余計な混乱を起こした張本人として医療現場からはさして評判の良くない御仁ではあるのですが、本件に関しては正論中の正論であって、まさに緊急事態宣言の延長に対する是非が公的な感染症対策とはどうあるべきかの最前線になってしまっています。