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素人では追い払われるのが関の山

 その弁護士の見立てはこうだ。

「おそらくサイト運営者は個人の場合、対応しない。弁護士だと対応するので、とりあえず侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書という書面を送って、削除を呼びかけていくことから始めた方がいい。それなら事務手数料1万円と成功報酬5万円で請け負える」

 結局、弁護士に頼るしかないのか。サイト運営者が「個人は相手にしない」というなら、それは仕方ない。プロバイダ責任制限法では「被害者がネット接続業者などに開示請求できる」とはっきり明示されているのだが、実際は絵に描いた餅なのだ。要するに素人では「権利侵害が明らかではない」という理由で、追い払われるのが関の山なのだろう。

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 そこで弁護士に任せることにしたが、弁護士が作った書簡はさすがである。

《本件レビューは本件書籍の内容については、「できすぎたフィクション小説。」との記載の他、一切言及しておらず、その一方で「無理やり不幸に当てはめたような書き方」や「文章の書き方に一貫性もない。」など、本件書籍の内容に何ら関係ない専ら著者の執筆技法についてマイナスの評価を与える表現のみを記載している。さらに、また、本件書籍が現実に起こった事件をもとにしたものであることは、本件書籍内でも明確に記載しているところ、「できすぎたフィクション小説。」という記載は、本件書籍がノンフィクション小説であることを記載したうえで書かれているものであるとはいえ、本件書籍の著者である○○氏(本名)の名誉権を侵害するために意図的に事実と異なる記載をしたものと考えられる。以上を踏まえると、本件レビューは、事実ではない「できすぎたフィクション小説。」という表現によって、本件書籍の著者が、「ノンフィクション小説とうたって、フィクション小説を出版している」との誤ったイメージを不特定多数人に公開するものであり、本件書籍を執筆した○○氏(本名)のノンフィクション作家としての社会的評価を低下させる名誉権を侵害する違法な表現であることは明らかであり、そればかりか、本件レビューは本件書籍に対する単なる感想やレビューといった性質のものではなく、本件書籍を執筆した○○氏(本名)のノンフィクション作家としての社会的評価を低下させることが主たる目的であるといわざるを得ない表現であることが明らかである》