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コロナで“無謀の数々”安倍政権の「SNS規制」 「誹謗中傷」と「批判」は誰が判断するのか?

菅官房長官が答えた「嫌われる勇気」

2020/06/02
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 これは先ほどの読売の「『政治の現場』危機管理」第1回のテーマである。

 今回のコロナ対応で首相が危機対応で前面に立つほど、菅氏との距離が広がったという。

《安倍が2月下旬に学校の一斉休校を打ち出した際も、菅は蚊帳の外だった。官邸幹部の一人は「首相は政権終盤で自分の思い通りにやりたくなったのだろう」と推し量る。昨秋の内閣改造以降、菅に近いとされる閣僚が複数更迭されたことで、安倍と菅の距離が広がったともささやかれる。》

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©︎文藝春秋

検察庁法改正案「首相も強い思い入れはなかった」

 そういえば気になることがあった。あの黒川定年延長問題である。検察庁法改正案が見送りになった先々週、新聞各紙で同時多発的に載った「声」は「そもそも安倍首相には思い入れがなかった」という奇妙なものだった。

《首相も強い思い入れはなかった(政府関係者)。》(読売5月19日)

《首相周辺は「改正案はもともと必要がない」と冷ややかで、》(毎日5月19日)

 たしかに黒川氏と実務的なつながりがあるのは菅官房長官だろう。実際に菅案件なのかもしれないが、黒川氏の賭けマージャン報道で見送りとなった途端のこれらの情報の数々には注目したい。

 首相周辺による「あれは菅さん案件だから」という情報戦の可能性もある。ここで想像できるのは「安倍官邸官僚と菅官房長官」の官邸内における攻防である。

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菅官房長官の人生相談「プロジェクト内の部下が不仲」

 ここで、ある雑誌のコーナーを紹介したい。

 菅氏が答える人生相談である。もともと読売の「人生案内」を読むのが日課だと公言していた菅氏がこの春から「プレジデント」で人生相談コーナーをはじめたのだ。

 これは菅氏による「令和おじさんもう一度キャンペーン」だと私はにらんでいる。世の中に好感度を上げつつ、独自の発信をしないといけない時期という判断があったのではないか。もしかしたら焦りも。

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 最新号の第3回(6月12日号)はどんな相談に答えているのか。ページをめくった私は仰天した。

 読者の「お悩み」は、《プロジェクト内の部下が不仲。上司としてどうすべきでしょうか。》

 な、なんと! 今の菅氏の立場そのものではないか! うわー。

 で、この相談に菅氏はどう答えたか。

《「お答え」 時には「嫌われる勇気」が必要です。リーダーが「いい人」では物事が進みません。》

 ああ、これは自分を鼓舞するため!? それとも首相周辺へのメッセージ?

「面倒事の押し付け合いは、どの組織にある」という小見出しにも注目したい。これはやはり自分への相談なのだろうか? このコーナーのタイトルは「菅義偉の戦力的人生相談」であるが、まさに戦略的にしか思えない行間である。