SNSでの「誹謗中傷」と「批判」
さて「スピード感」とか「真摯に」とか「空前絶後」とか、言葉のインフレ化がすすむ政府だが、先週の気になる動きがSNSに関するもの。
フジテレビ系の「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんの急死にはSNSでの誹謗中傷が関連していると言われている。
《プロレスラー木村花さんの死去を受け、高市早苗総務相は26日、発信者情報の開示を定めるプロバイダー責任制限法について「制度改正を含めた対応をスピード感を持ってやっていきたい」と述べ、検討を急がせる考えを示した。》(朝日5月27日)
自民党は、《インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷対策を検討するプロジェクトチーム(座長・三原じゅん子党女性局長)を発足させた。》(毎日新聞WEB5月26日)
ここで気になるのは、規制強化も検討されるうえで、「誹謗中傷」と「批判」を区別する判断を誰がやるのか、ということ。不安ではないか。実は現政権内に気になるお手本がいる。河野太郎防衛大臣である。
「公人がブロックOK? 河野外相ツイッター閲覧妨害」(東京新聞2019年7月20日)
「河野大臣とブロック」について書かれた記事なのだが、河野大臣はクソリプで絡んできた人だけでなく、自分に批判的なツイートもエゴサーチして見つけて多くの人をブロックしているらしい。そのなかにはジャーナリストもいる。
ブロックを多用していることについて会見で問われた河野防衛大臣は「誹謗中傷している人には遠慮いただきたい」と説明した(毎日新聞2019年9月14日)。
誹謗中傷と批判を「勝手に」権力者が判断しているのである。
批判する側をブロックしたうえでツイッターを活用する河野大臣。
先週のブルーインパルス飛行の際は、
「河野防衛相『#みてくれ太郎』でブルーインパルス写真呼びかけ 実況ツイートも」(デイリースポーツ5月29日)
こういう巧妙なツイッターの使い方を見ると、あのブルーインパルスは医療従事者への敬意と感謝だけではなく河野大臣のツイッターを盛り上げるため? という茶々も入れたくなる。
河野氏「プロセスはどうでもいいだろうと思う」
こんな記事もある。
「ブルーインパルス感謝の“航空ショー”は誰の発案?」(日刊スポーツWEB5月30日)
防衛省は誰の発案で、いつ決まったのか明らかにしていない。
《「プロセスはどうでもいいだろうと思う」フライトを直前に控えた当日の記者会見。河野太郎防衛相は概要や趣旨を説明する傍ら、誰が発案したのか問われると、こうはぐらかした。》
《防衛省幹部は「公表直前まで知らされなかった」とこぼした。別の防衛省幹部は「政治利用ではないかとの批判を警戒しているのだろうが、誰がどう決めたのか説明しないと臆測が広がりかねない」と話した。》
このあと批判が強まると、
「ブルーインパルス都心飛行『私が指示』 河野防衛相がブログで明かす」(毎日新聞WEB6月1日)
《河野太郎防衛相は1日付のブログで、航空自衛隊のアクロバット飛行隊「ブルーインパルス」を都心上空に飛行させたのは、自身の指示だったことを明らかにした。5月29日の記者会見では発案者について問われたが「やるということが大事なのでプロセスはどうでもいいだろうと思う」と明らかにしていなかった。》
では聞きたいが「プロセスはどうでもいいだろうと思う」と当初述べたのはどんな気まずさからだったのか。自分及び自分のツイッター人気のための姑息な理由は本当になかったのか。
あらためて「#説明してくれ太郎」でお願いします。