楽天モバイルが上手いのは、Rakuten Miniの値段を販売当初、1万9819円(現在は1万7000円)に設定してきた点にある。値段が2万円以下であれば、上限いっぱい割引して「1円」という価格を設定できてしまうのだ。
これが、他社も扱っていたり、世界的に流通しているスマホとなれば、楽天モバイルが単独で値段を極端に安価に設定するのは難しい。しかし、Rakuten Miniは自社のオリジナル端末であり、自由に価格設定することができる。結果として、今ではあまり見ることのない「1円スマホ」が誕生したことになる。
ただ、大手3キャリアは、これまで一括ゼロ円や高額なキャッシュバックを手掛けていたことにより、端末割引に対する経営のダメージが大きく、「正直言って、やめたかった」(キャリア幹部)というのが実情だ。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクとしてみれば、不毛な顧客獲得合戦を展開し、これ以上、端末割引で経営的に痛手を負いたくないと思っていた。そんな中、総務省が旗振り役となり、「端末の割引はしなくていいよ」という政策を展開。結果として、キャリアとしては「渡りに船」で割引地獄という泥沼から脱することができつつある。
楽天は、三木谷浩史社長が「モバイルネットワークの民主化を目指す」と新風を巻き起こそうとしていたが、結局は「スマホ1円販売」という3キャリアが卒業しようとしている旧態依然とした端末割引販売をはじめてしまったのだ。
au、ソフトバンクの「楽天包囲網」
4月からサービスを開始した楽天モバイル。楽天の三木谷社長は、700万契約が損益分岐点だと語り、年内には無料キャンペーンの対象人数である300万人を突破したいと意気込む。現状のユーザー数について、三木谷社長は口をつぐむが、業界内では「20万~30万程度なのではないか」と囁かれている。年内までに300万契約を獲得するには、少々、スタートでつまずいた感がある。
新型コロナウイルスの影響があり、楽天モバイルのショップは休業を余儀なくされたのが痛かった。
ただ、楽天は、ネット通販が本業ということもあり、ネットでの契約が好調のようだ。4月中はリアル店舗での契約は3.5%に過ぎず、実に96.5%はオンラインからの契約だったという。今後は緊急事態宣言が解除されたことで、リアル店舗での契約に弾みがつきそうだ。