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“感染リスクが高い”は間違い!? コロナ禍の「歯科ばなれ」が危険すぎる理由

1995年の阪神淡路大震災でも問題になった「口腔健康の管理」

2020/06/06

 丁寧なブラッシングや舌の清掃は、感染症予防の点でも重要だ。これらは新型コロナウイルス対策としてのエビデンスはまだ十分ではないものの、様々なウイルスへの感染を防ぐうえで、きわめて重要な取り組みとされている。

「インフルエンザウイルスは全般的に、口腔内の細菌が出すタンパク分解酵素によって鼻や口の粘膜のレセプターに付着したり、増殖するといわれています。特に今回の新型コロナウイルスは“舌のレセプター”に付着しやすく、そこに口腔内細菌が作用することでさらに増殖を促進する、という報告もあります」(前出の堀氏、以下同)

 マスク、手洗い、うがいと同時に、歯磨きと舌の清掃は、しっかりやっておいて損はないのだ。

1995年の阪神淡路大震災でも問題になった「口腔健康の管理」

 いまから四半世紀をさかのぼる1995年に発生した阪神淡路大震災の時、避難生活を余儀なくされた人たちの口腔健康の管理が滞り、多くの被災者が誤嚥性肺炎で命を落とした。いわゆる「震災関連死」に含まれる事例だが、前出の堀氏は、悲劇の再来を警戒する。

「誤嚥性肺炎もさることながら、う蝕(虫歯)や歯周病など、歯科で扱う疾患の大半は自然に治ることはなく、悪くなることはあってもよくなることはない。また、口の中に起きる“痛みを伴う急性疾患”は放置すれば重症化します。義歯がなくて噛むことができなくなれば生活の質は低下するし、それが長期化すれば免疫力を含む全身の健康を損なう危険性がある。長期化する自粛生活で、口腔を通じて全身の健康に何らかの問題が出ている危険性もあるので、かかりつけの歯科医師にぜひ相談してほしい」

©︎iStock.com

 新型コロナによる肺炎(COVID-19)を防げても、誤嚥性肺炎になったのでは意味がない。一つの病気だけを恐がるのではなく、身の回りに潜むあらゆる病気を広く視野に捉えて、的確な対応を講じていくべきなのだ。

 繰り返すが、口腔内の病気は、時に命に直結する恐ろしい存在だ。ぜひ認識を改めてほしい。

 折しも、6月4日から10日は「歯と口の健康週間」。

 歯科治療は、決して「不要不急」ではないのです。

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