6月9日、天皇皇后両陛下は結婚27年を迎えられた。天皇陛下が即位されてから1年あまりが過ぎ、即位関連儀式をはじめ、賓客の接遇、地方公務などに雅子さまもご一緒に臨まれる機会が数多くあった。訪れる先々で、肩を並べて笑顔で手を振られている両陛下のお姿を記憶している人も多いだろう。
この1年、雅子さまのファッションを拝見していると、トランプ大統領夫妻との会見でお召しになっていたポインテッドパンプスや、宮中晩餐会でのシースルージャケット、愛知県ご訪問でのパンツスーツなど、雅子さまが以前は選ばれなかったようなアイテムから「自分らしさ」のヒントを見出されつつあることを感じていた。
雅子さまを手伝われた天皇陛下
6月2日には、雅子さまは天皇陛下とともに皇居内の紅葉山御養蚕所を訪れられ、ご養蚕の「上蔟(じょうぞく)」という作業に臨まれた。雅子さまは「かわいらしいですね」と陛下と声をかけあわれながら、成長した純国産種の蚕「小石丸」約2000匹を素手で、蔟(まぶし)と呼ばれる網に移されたという。陛下も雅子さまを手伝われたり、ご自身でも蚕を蔟に移されたりしたようだ。
ご養蚕は、明治以降、歴代の皇后に継承されてきた伝統行事だ。皇居に向かわれる両陛下のご様子からは、とてもリラックスした雰囲気が伝わってきた。美智子さまから雅子さまにご養蚕が引き継がれることが決まり、2018年にもご一家で紅葉山御養蚕所を訪れられていて、これは皇太子時代から変わらないご姿勢でもあることに気がついた。
2003年から雅子さまは長期療養に入られ、依然としてご体調には波がおありだという。6月8日も、ご養蚕の「初繭掻(はつまゆかき)」の作業を急きょ取りやめられた。陛下はいわゆる「人格否定発言」を2004年5月のデンマーク・ポルトガル・スペインご訪問を前にした記者会見(5月10日)で口にされた。この時からもずっと、陛下は夫として父として、ご家族をそっと見守り支えられてきたと言えるだろう。