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特集観る将棋、読む将棋

2020/06/08

「大名人の系譜にあるという評価は変わらない」

 前回の取材からちょうど1年が経過した。実績を重ねている藤井の現在地を、渡辺はどのように捉えているのだろう。

「大名人の系譜にあるという評価は変わらないです。タイトル戦に出ていても驚かなかったし、どちらかと言うと出るのかなと思っていました。屋敷さん(伸之九段)の最年少タイトル挑戦(17歳11カ月)、最年少タイトル獲得(18歳6カ月)を塗り替えるかどうかは分からないですけど」

 史上4人目の中学生棋士が5人目の後継者を評価する前提には、やはり「若さ」という絶対条件がある。

「有望な若手はたくさんいますけど、藤井君は年齢が抜群に若いですから。当然ですけど、若い方が伸びしろはあります。棋士は年齢という物差しで評価して、ゆくゆくはどうなるのかと推測するものですから」

中学3年生のときにプロデビューした渡辺明棋聖。永世竜王・永世棋王の資格を保持し、通算タイトル25期を誇る ©文藝春秋

「藤井君は自分より2年くらい早い」

 中学生から高校生へ。ティーンエイジャーの勝負師に、かつての自らの姿を重ね合わせることはないのだろうか。

「実力については、時代が違ってしまうと比べようもないですけど、今の藤井君の活躍の度合いは、自分が高校を卒業して19歳で初めてタイトル戦に出られた(2003年の王座戦五番勝負で羽生王座に挑み、フルセットまで追いつめた)頃くらいだと思うので、2年くらい早いような感じはしますね」

 相変わらず8割以上の勝率で藤井は勝ち続けている。菅井竜也七段らトップ棋士に完敗するようなケースもあるが、軽々に「トップの壁にぶつかる」と語ろうとするメディアの論調に、渡辺は懐疑的だ。