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無観客でも球場が盛り上がるには

 ただ、各球団には、赤字転落が濃厚という現実を、「コロナだからしょうがない」といった調子で、淡々と受け入れるべきではないと私は考えます。

 開幕するからには、可能な限り経営努力を続けるべきでしょうし、プロ野球はその先に、新たな挑戦の世界を切り拓いてもらいたいのです。

 球団経営がフォーカスされ、各球団がこの危機を乗り越えられるだけの体力を備えてきたことを球界の“第一次パラダイム・シフト”とするならば、今求められているのは“第二次パラダイム・シフト”への挑戦です。

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池田純氏

 無観客でも球場が盛り上がるにはどんな手法が考えられるか。映像で試合を楽しむファンに特別な観戦体験をしてもらうにはどうすればいいか。それらに伴って、どんな新規ビジネスが展開可能か。

 たとえば、設備投資費はかかりますが、LEDディスプレイを座席の背もたれに設置して、球場に来れないファンの顔がそこに映る権利やそれに伴う家庭での新たなサブスクのビジネスモデル、リモートファンミーティングの参加券を販売していく、であるとか。

 外野からの勝手な物言いに聞こえてしまうかもしれませんが、知恵を絞り、いろいろなことに挑んでほしい。トライした人にしか分からないこと、トライした人だけが得られるチャンスは必ずあります。プロ野球は体力があるからこそ、切り拓くイノベーターになれる。そして他エンタメ業界にも、スポーツ業界にも、新たな道筋をみせることができる。挑戦した人にしかわからない、見えない果実を着々と経営に還流させてもらいたい。

 そうして新たな収益のタネを見つけることができたならば、それは以前のようにスタジアムに観客を入れて試合ができるようになったとき、売上の上積みになるのです。

 今をチャンスだと捉え、驚くようなビジネスアイデアを編みだす球団が現れることを期待したいと思います。

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